手取り別の家賃の目安を紹介|生活費をシミュレーションするのが重要
- 投資
2022/10/24
賃貸の物件に住む際に発生する支払いが「家賃」です。家賃は物件によって金額が異なるため、それぞれの年収に応じて適切な金額があります。本記事では、家賃の金額を決める際の参考として「家賃」「収入」「手取り」の関係について解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
家賃は「収入」ではなく「手取り」で考えるべき
会社員の給与やフリーランスの報酬は「収入」に当てはまります。これに対して「手取り」とは、所得税や住民税、社会保険料、厚生年金などの税金や保険が引かれたあとに手元に残る金額のことです。
家賃の金額を決める際は「収入」ではなく「手取り」で考えるべきとされています。それでは、その理由について詳しく解説していきましょう。
手取りは収入の約75〜80%になる
日本の平均といわれている年収400万円の場合、収入から税金や保険、年金が引かれて手元に残る手取りは、収入の約75〜80%ほどになるとされています。
その理由としてあるのが、日本の税金制度である「累進課税」です。累進課税とは、収入に応じて所得税の税率が高くなる制度であり、日本では年収が高くなればなるほど支払う税率が増え、納める税金が多くなります。主な所得税の税率は下記のとおりです。
このように、年収が上がるにつれて納税の割合も増えていくため、年収が高ければ高いほど手取りの割合は少なくなってしまいます。
例:収入が20万円だった場合の手取りは15〜16万円
月の収入が20万円の場合の手取りについて、わかりやすく例をあげてご紹介しましょう。
前提条件として「月の収入20万円」「22歳」「新卒入社後半年」「独身」「扶養無し」「ボーナス無し」を定めます。
20万円の収入から引かれる主な税金や保険は次の通りです。
● 所得税:約3,770円
● 厚生年金保険:約18,300円(料率18.3%)
● 健康保険:約9,810円(料率9.81%)
● 雇用保険:約600円
住民税は前年度の年収によって計算されます。今回は新卒社員を例として挙げたため、前年の収入がなく、住民税は控除されません。
このように、収入が20万の場合、保険や税金で32,480円が引かれ、手取りが約16万円ほどとなります。
家賃以外にかかる生活費にはどんなものがある?
家賃は生活費の一部であり、その他にも生活を送るうえで発生する費用など、次のようなものが挙げられます。
● 食費(自炊や外食)
● 水道・光熱費(ガス・電気)
● 通信費(携帯電話・Wi-Fi)
● 交通費
● 娯楽費(カラオケや映画、動画配信サービスのサブスクなど)
● 美容費(美容院やエステなど)
● 医療費(歯医者や内科など)
● インテリア費
● 日用品費(ティッシュやトイレットペーパーなど)
● 交際費(知人や友人との食事など)
このように、私たちの生活は家賃以外にも数多くの出費要素があるのです。
家賃は手取りの25〜30%程度に抑えておくのがおすすめ
家賃以外にも多くの出費が発生する中、安定した生活を送るには収入ではなく「手取りの25%〜30%」をおすすめします。
同じ地域内であれば、家賃が高ければ高いほど部屋の広さや設備が充実しており、住みやすい環境が整っているケースが多いです。しかし、住みやすさを重視するあまり、自身の収入に見合わない金額の家賃を選択してしまうと、金銭面で苦しくなってしまいます。
そのため、私生活に支障が出ない程度の出費で程よく住みやすい物件を選ぶには、25〜30%が適切といえるでしょう。
【手取り額別】家賃・物件・生活費をシミュレーションしてみよう
「家賃は手取りの25〜30%が適切」といっても、人によって手取りが異なるため、どのような物件に住めばいいのかイメージが湧かないという方もいるでしょう。そのため、家賃や食費、光熱費などを踏まえてどのような物件に住むべきかを手取り別でシミュレーションしていきます。
今回は参考として東京都内を例に挙げてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
手取り16万円:家賃4〜5万円・狭めのワンルーム
手取り16万円の場合、30%で考えたときの家賃は4.8万円となり、都内だと4〜5万円の少し狭めのワンルームが適切でしょう。
家賃を4万円としたときのシミュレーションとして、手取りの16万円から下記の基本的な生活費を差し引いて考えます。
● 家賃:4万円
● 水道・光熱費:1.1万円
● 通信費:1.2万円
16万円から6.3万円を差し引いて9.7万円となり、ここから「食費」や「医療費」「娯楽費」「交際費」「日用品費」などを差し引かなければいけません。そのため、将来のための貯金も考えるとなると、少し狭くてもワンルームがぎりぎりになってしまうでしょう。
手取り20万円:家賃6〜7万円・広めのワンルームや1K
手取り20万円の場合、30%で考えると6万円になり、家賃4〜5万円に比べて少し広いワンルームもしくは1Kが適切です。
手取り20万円で家賃を6万円としたときには、下記のようになります。
● 家賃:6万円
● 水道・光熱費:1.1万円
● 通信費:1.2万円
20万円から8,3万円を引くことで11.7万円となり、ここからそのほかの生活費を差し引くと、先ほどのワンルームに比べて少し余裕があるといえるでしょう。
手取り28万円:家賃8〜9万円・1DK
手取り28万円を30%で考えると8.4万円となり、1Kよりも広く1LDKよりも少し狭い「1DK」がおすすめです。
手取りが28万円で家賃を8万円としたときには下記のようになります。
● 家賃:8万円
● 水道・光熱費:1.3万円
● 通信費:1.2万円
1DKはワンルームや1Kに比べて部屋が広いため、若干ですが光熱費が高くなる場合があります。
28万円から10.5万円を引くと17.5万円となり、ここから食費や娯楽費、貯金を差し引いても比較的余裕があるといえるでしょう。
そのため、1DKの広さで問題なければ、食費や娯楽費に使いつつも貯金に回すことも可能です。
手取り35万円:家賃10〜11万円・1LDKや2DKも視野に
手取りが35万円のときの30%は10.5万円であり、1LDKや物件によっては2LDKも住めるでしょう。
しかし、主要駅付近に住むとなると、1LDKでも少し部屋が狭くなってしまう可能性があるため、事前に物件の広さを確認しておく必要があります。
35万円の手取りから10万円を引いて考えると下記のようになります。
● 家賃:10万円
● 水道・光熱費:1.5万円
● 通信費:1.2万円
先ほどの1DKと同様、部屋が広くなるうえに部屋が1つ増えるため、光熱費が高くなってしまいます。35万円から17万円を差し引くと18万円となるため、1DKのときよりも余裕を持った暮らしができるでしょう。そのため、1LDKと2LDKのどちらを選択するかは、部屋の広さや立地などの自身の好みで選べます。
手取りから家賃を決める際に注意すべきポイント
賃貸物件の多くは2年間の契約となっており、途中解約をすると違約金が発生してしまいます。また、家賃は毎月発生する固定費であるため、安易な気持ちで決めてしまうのは危険です。
ここからは、家賃を決める前の注意点を2つご紹介していきます。
ボーナスは手取りとして考えないのがベスト
毎月の給与と別に、会社員は「ボーナス」が発生するケースが多いです。
ボーナスは基本的に年2回の支給がありますが、支給される金額は企業や個人の業績に影響されるため、不安定とされます。対して家賃の支払いは毎月発生するため、不安定な要素を食い込んで判断するのは危険でしょう。そのため、家賃を決める際には毎月の安定した給与をもとに考えるべきといえます。
生活費を計算してから家賃を決める
私たちが生活するうえでは家賃に加えて生活費の出費が発生します。
生活費は毎月異なりますが、ある程度の金額は計算可能です。また、突発的に大きな出費が発生することもあるため、毎月の平均した生活費を計算して突発的な出費にも対応できる範囲で家賃を決めるといいでしょう。
貯金したい人は家賃は手取りの20〜25%程度がおすすめ
手取りから家賃や生活費を支払ったあとに毎月な状態では、将来のための貯金が増えません。
また、中には家賃を手取りの30%にしても、生活費の出費が多くなかなか貯金ができないという方もいるでしょう。そんなときは、家賃の基準を20〜25%まで下げることで、今まで通りの生活を送りつつも、発生した差額分の貯金が可能となります。
同棲の場合は将来のために家賃を抑える人が多い
同棲をしている方の中には「2人で支払うから家賃が少し高くても問題ない」という方もいるでしょう。しかし、同棲後の結婚や出産などのライフプランを考えたときに多額の出費が予想されます。そのため、同棲のときこそ、2人の将来のために家賃を抑えておくべきといえるのです。
家賃に迷った場合は不動産会社に相談してみよう
今回は、それぞれの手取りに対しての生活費を踏まえたうえで、適切な家賃について解説してきました。
ここまでで記述したように、家賃は決して安いものではなく1年単位でみても50〜100万円ほどかかってしまいます。また、将来のことも考えて貯金をしなければいけないため、安易な気持ちで決めるのは危険です。
もし家賃に関する不安や疑問、自身に見合った物件を探したいときは、不動産物件であるプロに相談してみるといいでしょう。