サラリーマンは不動産投資で節税できる?目安の年収や注意点を解説
- 投資
2022/10/06
サラリーマンの誰もが「税金で引かれすぎ」と感じた経験があるのではないでしょうか。法人に比べサラリーマンは節税方法が限られています。数少ない節税方法の1つとして挙げられるのが「不動産投資」です。本記事では、不動産投資で得られる節税の効果やメリットなどを解説します。節税方法を探しているサラリーマンの方は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
サラリーマンは「不動産所得」により不動産投資で節税可能
不動産所得とは、不動産による所得であり、主に下記の3つのことです。
● 不動産の上にある地上権などの権利の設定および貸付による所得
● 船舶や航空機の貸付による所得
● 土地やマンションなど不動産の貸付による所得
サラリーマンが主に行っている不動産投資は、上記3つ目の「土地やマンションなど不動産の貸付による所得」があてはまります。
「土地やマンションなど不動産の貸付による所得」とは、主に家賃収入のことを指し、自身で保有する物件を他人に貸すことで得る収入です。
また、家賃収入のほかに保有する不動産を売却することで得られる所得もあります。売却による所得も不動産所得と思われがちですが、売却時の所得は「譲渡所得」とされるのです。不動産所得とは別に区分されますので注意してください。
サラリーマンが不動産投資で節税するメリット
サラリーマンが不動産投資によって得られるメリットは主に次の3つが挙げられます。
本業に影響が出にくく、副業が禁止の場合でもできる
本業に支障が出てしまうとの理由で副業を禁止している企業は多いです。その点、不動産投資は管理会社に運営を任せることでほとんど手間をかけないため、許可している企業もあります。
生命保険の代わりになる
不動産投資のローン返済中に団体信用生命保険に加入している返済者の身に万が一があった場合、保険会社が残債を返済します。そのため、残された遺族に負債が残らないだけでなく、不動産が資産として残るのです。
老後の収入になる
不動産投資は節税だけでなく副収入を得られるメリットがあります。ローンを返済中は本業の所得と差し引いて節税ができますが、ローン返済後には家賃収入がそのまま収入になるのです。そのため、老後の2,000万円問題など、老後に不安を抱えている方の助けになります。
不動産投資で節税できる税金と仕組みを解説
不動産投資で節税を行うには、しっかりと仕組みを理解していなければ大きな損失に繋がりかねません。
ここからは、不動産投資で節税対象となる税金と仕組みについて解説していきます。
所得税・住民税:減価償却と損益通算により節税できる
不動産投資で節税できる税金は主に「所得税」と「住民税」であり、「減価償却」と「損益通算」がカギとなります。不動産所得による節税方法は、減価償却によってできた赤字を損益通算して所得から差し引くことです。赤字と所得を差し引いて総所得額を低くすることで、所得税と住民税の金額が下がり節税効果を得られます。
減価償却とは購入品を数年に分けて計上すること
不動産投資において「減価償却」という言葉は欠かせません。
不動産投資における減価償却とは、不動産を購入した際の費用を法で定められた耐用年数に分けて計上する仕組みです。また、減価償却は過去の原価を分けるため、計上する会計期間において実際に現金を支払うことはありません。
減価償却の耐用年数は下記のように不動産物件の構造によって異なります。
● 木造:22年
● 軽量鉄骨:27年
● 重量鉄骨:34年
● RC(鉄筋コンクリート):47年
● SRC(鉄骨鉄筋コンクリート):47年
損益通算とは所得の赤字と黒字を相殺すること
「損益通算」は、減価償却と並んで不動産投資で必ずといっていいほど出てきます。
損益通算は、利益と損失を相殺することであり、不動産投資における損益通算は所得と減価償却で生じた赤字を相殺して所得を下げることです。
相続税は評価額の低下により節税できる
不動産投資では所得税と住民税のほかに相続税も節税できます。
相続税は不動産のような資産だけでなく、銀行に預けている現金預金も対象です。仮に現金預金1億円を相続した場合、1億円すべてが課税対象となります。しかし、不動産は年月が経つにつれて劣化する点に加え、路線価や固定資産税評価が購入時の価格よりも下がることで節税効果が得られるのです。
例えば、1億円で不動産を購入し、数年後に7,000万円まで価値が下がった時点で相続するとします。この際に課税対象となるのは購入金額の1億円ではなく、7,000万円であるため、3,000万円分の相続税が節税できるのです。
会社を設立していれば法人税の節税も可能
不動産投資では所有している物件の規模を拡大し、法人を設立することで節税効果を得る方法もあります。サラリーマンが納めている所得税は最大で45%も引かれ、法人税よりも高く引かれてしまうケースもあるのです。
法人税の割合は年間売上が800万円以下の場合15%、800万円超えの場合23.20%とされており、所得税の税率は以下の通りです。
引用:国税庁 No.2260 所得税の税率
次の章では、サラリーマンが不動産投資を通してどのくらい節税効果があるのかをご紹介します。
不動産投資での節税効果があるサラリーマンの年収の目安を紹介
サラリーマンが不動産投資を活用して得られる節税効果について、年収1,200万円ほどの方を例にしてご紹介していきます。
年収1,200万円以上の人は不動産投資での節税効果が高い
サラリーマンが不動産投資で節税をする際には年収が大きく影響します。特に節税効果が高くなる目安とされているのが、年収1,200万円(課税対象900万円)以上です。
その理由として、課税対象が900万円以上の場合、所得税が33%となり税率が大きくなることが挙げられます。税率が高くなることで不動産投資による節税効果が出やすくなるのです。
年収が1,200万円以下の場合は大きなリスクになる可能性も
不動産投資を行ううえでリスクが伴うため、見合うだけの効果を得られなければ意味がなくなってしまいます。先述したように、年収1,200万円が節税効果がでやすい基準であるため、逆に年収1,200万円以下だと見込まれる効果よりもリスクの方が大きくなってしまうのです。
不動産投資で節税するなら青色申告の必要がある
青色申告とは、所得税における申告制度のことであり、1年間で発生した所得金額を計算するために日々の取引情報を記入した帳簿が必要です。
また、条件によって10万円〜最大65万円もの控除を受けることができたり、備品などの少額の経費を減価償却ではなく、1年で一気に経費精算することも可能です。
サラリーマンが不動産投資で節税するならどんな物件がおすすめ?
不動産投資を始めるにあたって特に重要なのが「物件選び」です。物件選びでミスをしてしまうと、最終的に大きな損をしてしまう可能性もあるので、どのような物件がおすすめかご紹介します。
特に節税効果を出しやすいのは「木造物件」と「築古物件」です。
木造や築古の物件は新築のマンションに比べて法定耐用年数が短いため、毎年の減価償却費が高くなることで短期的に大きな節税効果を得られます。
また、法定耐用年数が切れている築古物件は「法定耐用年数×20%の年数(端数は切り捨て)」で減価償却が可能です。
サラリーマンが不動産投資で節税する際のポイント
不動産投資はサラリーマンが行える数少ない節税方法ですが気軽に始めるのは危険です。事前に不動産投資で節税をする前におさえておきたいポイントをご紹介します。
節税目的の不動産投資は避けるのが無難
結論からいうと、不動産投資を節税目的で行うのは危険です。そもそも不動産投資は家賃収入や売却益によって収益を出すための手法であり、節税が一番のメリットではありません。
そのため、節税だけを目的として始めてしまうと収入を得ることができず、一時的な節約はできても長期的に大きな損失になってしまいます。
経費として計上できるものを把握しておく
不動産投資を行ううえで経費として計上することが重要です。事前に経費にできる費用を把握していなければ、本来経費で計上して節税できた費用がただの支出で終わってしまいます。
不動産投資の経費として計上できる項目一覧
不動産投資で経費として計上できる項目は主に次のようなものがあります。
● 減価償却
● 修繕費
● 税金(土地や建物の固定資産税、都市計画税)
● 保険料
● 管理委託料
● 税理士などの依頼料
● ローンの金利
● 入居者募集のための広告費
● 交際費(不動産会社や税理士との打ち合わせのための飲食)
● 旅費・交通費
● 勉強・情報収集の費用
上記に対して、経費として計上できない項目は次の通りです。
● 住民税
● 所得税
● 投資に関係ない費用(プライベートの交際費など)
このように、基本的に投資に関係ない費用は経費として計上できません。また、不動産投資によって所得税や住民税の節税は可能ですが、経費としての申請はできないため注意が必要です。
不動産業者に情報を提供してもらう
不動産投資において情報は大きな武器となり、さまざまな情報にもとづいて適切な行動を取る必要があります。自身で調べて情報を収集することも重要ですが、サラリーマンとして勤務しながら常に情報を仕入れるのは困難です。不動産会社に聞くのがよいでしょう。
不動産投資なら不動産のプロを頼るのがおすすめ
今回は、サラリーマンができる不動産投資の節税についてご紹介しました。
ここまでで記述したように、サラリーマンは節税方法が限られており、節税の選択肢として不動産投資は有効です。しかし、節税目的だけではリスクが大きいため、収入を得る方法も身につけなければいけません。
そんなときは不動産関係のプロに任せつつ、自身でも情報収取や試行錯誤して行うのがベストです。特に年収が1,200万円を超えるような高年収の方には大きなメリットとなるため、一度、不動産投資を検討されてみてはいかがでしょうか。