資産管理会社とは?節税効果があるといわれる理由を解説

資産管理会社とは?節税効果があるといわれる理由を解説

「資産管理会社ってサラリーマンでも作る意味あるの?」
「資産管理会社を設立した方が良い人って?」
と思っていませんか?
資産管理会社と聞くと、富裕層にしか関係ないと思われがちです。ですが、副業や資産運用をしているサラリーマンでも十分に恩恵を受けることができる可能性もあります。そこで、資産管理会社を設立した方が良い人、しない方が良い人、メリット・デメリットを解説していきます。
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節税効果があるといわれる資産管理会社とは

資産管理会社とは、資産を管理する目的で設立される会社のことです。
そのため「プライベートカンパニー」といわれることがあります。
資産管理会社には、さまざまな特徴があり、設立した方が良い人、設立しない方が良い人に分かれるので、それぞれ解説していきます。

資産管理会社とは自分の資産を管理するためだけの会社

資産管理会社とは、自分の資産を管理するためだけの会社です。一般的な会社は、株式の発行や銀行からの融資によって得た資金を元手に収益を上げていますが、資産管理会社は設立した本人の資産管理以外の事業活動は行いません。
不動産や株式などの資産を保有している人は、個人で資産管理するよりも税制面で優遇されるので、資産管理会社を設立する人が増えてきています。
ここからは、どのような人が資産管理会社を設立した方が良いのかを、解説していきます。

資産管理会社を設立した方が良い人は

資産管理会社を設立した方が良い人は、当たり前ですが、資産がある人です。資産がある人というのはどのような人かというと、例えば以下の3つのパターンになります。
● 資産運用や副業を行っているサラリーマン
● 相続税の発生が見込まれる資産家
● 事業主
簡単にいうと、本業以外の事業がある人と、資産があって相続対策が必要な人です。個人の所得税は、所得が高くなるにつれて税率が高くなる累進課税がとられているので、住民税を含めると個人の最大税率は55%にもなります。
一方、法人税の税率は、800万円までの課税所得に対し15%、800万円を超える分には23.2%が課税され、住民税を含めても最大30%ほどの税率で収まるため、個人の税率と比べて税金の負担が少ないのもメリットです。
さらに、個人では経費に計上出来なかったものが経費に計上できるようになったり、相続税対策にもなったりするので上記にあげた人は、資産運用会社を設立することでメリットを受けることができます。
では、反対に資産管理会社を設立しない方が良い人は、どんな人か解説していきます。

資産管理会社を設立しない方が良い人は

結論からいうと、もうかっていない人です。不動産投資や株式投資の収入が少ない人や、赤字経営をしている人は、設立しない方がよいでしょう。
なぜなら、資産管理会社は赤字経営だとしても、毎年均等割という法人税を最低でも7万円支払う必要があるからです(東京23区、資本金1,000万円以下、従業員50人以下の法人)。
その他、法人決算報酬が、税理士に決算申告を依頼する場合には、約30万円もかかります。そのため、利益が少ない人や、赤字経営をしている人は資産管理会社を設立しない方がよい、ということになります。

資産管理会社を設立するとお得になる収入の目安は

資産管理会社を設立する一つの基準は、所得900万円を超えていることです。

引用元:国税庁HP No.226所得税の税率
上の表からわかるように所得税率は、所得695万円超で23%、所得900万円超で33%、所得1,800万円超で40%、所得4,000万円超で45%です。これに対し、法人税率は800万円を超えた場合は一律23.2%が課せられます。
所得税率が法人税率を上回る所得900万円以上の人から資産管理会社を設立した方がお得になるので、一つの目安になるでしょう。

資産管理会社を設立すると得られるメリットは

資産管理会社の設立には、以下の4つのメリットがあるので、それぞれ解説していきます。
● 節税効果がある
● 損益通算と繰越控除面で有利
● 所得の分散ができる
● 相続対策になる

1.節税に効果がある

資産管理会社を設立するメリットとして、節税効果があります。日本の税制は累進課税で、収入が高ければ高いほど納める税金も、高くなります。個人の所得にかかる税金は、所得金額の5%〜45%で、住民税を加えると最大55%も税金を納めなければいけません。
一方、法人税の税率は、800万円までの課税所得に対し15%、800万円を超える分には23.2%、法人住民税を含めても30%前後なので、収入によっては節税効果があるでしょう。

2.損益通算と繰越控除と面で有利

資産管理会社を設立した場合のメリットとして、損益通算と繰越控除があります。損益通算とは、複数の事業の損失と利益を合算し、税務上の計算をするということです。
例えば、株で利益が出たとしても、それ以上に不動産で赤字が出た場合、両方の経済活動を資産管理会社に集約しておけば、損益が通算され、トータルの収支で税額が計算されます。もし、個人で同じようになった場合は、別々での計算になるため、不動産で赤字が出ていたとしても株の収入から税金が引かれてしまいます。
さらに、繰越控除ができる期間が個人に比べて6年も延びます。個人で繰越控除をする場合、3年までしか認められていませんが、資産管理会社で青色申告をしている場合は9年の繰越控除が可能です。個人の3年と比べると、6年も長くなるので節税効果があるでしょう。

3.所得の分散ができる

所得の分散をすることで、節税につながります。
法人から家族にも給与を支払うことで、資産の分散ができるので、一人一人の税額は少なくなります。
例えば、資産管理会社を設立する際に、配偶者や子供を役員に就任させ、配当や役員報酬を支払うことで所得を分散することができます。
これにより、本人の所得税等を抑えることができます。

4.相続税対策になる

資産管理会社を相続する際、不動産ではなく株式を相続することになります。
不動産は、路線価または、固定資産税評価額によって実態よりも低く評価されますが、資産管理会社の株式は、さらに低く評価されるので相続税対策になります。また、先ほど説明したように、家族に給与を支払うことによって、資産が自分から家族に移るという意味では、相続税対策といえるでしょう。
個人の所得財産を生前贈与する際は、最高で55%の税率がかかってしまいます。

資産管理会社の設立で被るデメリットは

ここからは、資産管理会社を設立することで被る以下3つのデメリットについて解説していきます。
● 会社の設立・維持・廃業の時に費用がかかる
● 赤字になったとしても法人住民税がかかる
● 資産管理会社名義の資産は使用が制限される

1.会社の設立・維持・廃業のときに費用がかかる

資産管理会社は、維持費はもちろん設立する時にも廃業する時にも費用がかかります。設立と維持には、以下の費用がかかってきます。
● 登録免許税(合同会社で15万円、株式会社で30万円程度)
● 定款の認証手数料5万円
● 定款の謄本手数料2,000円
● 収入印紙代約4万円(電子定款の場合は不要)
● 経理処理を税理士に依頼する場合は、数万円〜十数万円
設立するだけで、これだけのコストがかかり、設立する時だけでなく、廃業するときも費用がかかります。廃業する際にはさまざまな手続きが必要なため、司法書士や税理士に仕事を依頼することになるでしょう。その場合は、数十万円の支払いが発生します。廃業する時に数十万円ということは、知っておいた方がいいでしょう。

2.赤字になったとしても法人住民税が発生する

資産管理会社を運営していて赤字になった場合であっても、均等割という法人住民税を最低で年間7万円支払う必要があります。均等割というのは、法人であれば等しく払う義務のある税金です。資本金の額によって納める金額が違うので、以下の表を参考にしてください。

3.資産管理会社名義の資産は使用が制限される

資産管理会社が保有する資産は、本人であっても自由に使うことができません。
資産管理会社を設立した本人が、趣味など個人的な目的のために使う場合は、資産管理会社から個人へお金を移す必要があります。その場合、役員報酬もしくは配当という形で支払われますが、総合課税として扱われるので、給与所得と同じように税金が最大55%かかります。

資産管理会社設立の流れ

ここからは資産管理会社設立の流れを、解説していきます。
手続きが面倒であったり時間がかかるのが嫌であったりする方は、司法書士に頼むことも可能です。以下が資産管理会社設立の流れになっています。

1. 会社の情報を決定する
2. 提出の必要な書類等の準備をする
3. 役所に書類を届出する

1.会社の情報(社名や資本金の額など)を決定する

資産管理会社を設立する場合、以下のことを決める必要があります。
● 社名
● 本店所在地
● 資本金の額
● 決算月
社名を決める際の注意点としては、「株式会社」もしくは「合同会社」という名称を入れなければなりません。次に、本店所在地は、細かく決められていないので、自宅にする方が多いようです。
資産管理会社を設立する際の資本金ですが、1円からでも可能ですので、少なくても問題ありません。
決算月は設立から1年以内であれば、いつにするのかという決まりはないので自由に決めることができます。ただし、1月〜3月は個人の確定申告や会社の決算時期と被るため、公認会計士や税理士が多忙になり、ゆっくり対応してもらえない可能性があります。そのため、1月〜3月は特別な理由がない限り避けた方がいいでしょう。

2.提出の必要な書類等の準備をする

資産管理会社設立には、以下のものが必要になります。
● 代表者印
● 銀行印
● 角印
● 定款
代表者印と角印、銀行印は「法人3点セット」ともいわれる印鑑セットです。特にこだわりがない場合は、ネットでも販売していますのでそういったものでも問題ありません。もちろん印鑑屋に行って、3点セットとして作ってもらうことも可能です。
次に必要なのが定款です。読み方、はていかんです。定款とは、会社の基本的なルールを定めるもので、ネットにひな形があるので、特にこだわりがない方は、ネットでダウンロードして流用することもできます。心配な場合は司法書士に依頼すれば、数万円で請け負ってくれるでしょう。

3.役所に書類を届出する

役所に提出する書類は以下の3つです。
● 登記書類
● 開業届
● 青色申告承認申請書
登記書類とは、資産管理会社の設立のための書類で、法務局に提出します。開業届は、会社設立の事実を届け出るための書類で、税務署へ提出してください。開業届を提出する際に、併せて青色申告承認申請書類を提出することで「欠損金の繰越控除」を受けられます。
これらの書類作成や提出も面倒だと感じたり、時間の無駄と感じたりする場合は、司法書士や代行サービスを利用するとスムーズに行うことができるでしょう。

資産運用は賢く

資産管理会社にはたくさんのメリットがある反面、デメリットもありますが、うまく利用することで税制面で大きなメリットを享受することができます。資産管理会社を作った方がメリットを享受できるかどうかは、個人の資産状況によって異なるので、専門家に相談するのが確実です。
資産管理会社は不動産管理までは行っていないので、不動産管理を行いたい場合は、不動産管理会社に相談して見てください。資産を多く所有している方や、上手く相続をしたい方は、資産管理会社の設立を検討してみてはいかがでしょうか。

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