アセットアロケーションとは? 概要やポートフォリオとの違い 決め方などを詳しく解説
- 投資
2022/05/10
中長期の資産運用を行う際に重要な考え方として「アセットアロケーション」と呼ばれる考え方があります。結論から述べると、アセットアロケーションとは「資産の配分」を重視する考え方です。本記事ではこのアセットアロケーションについて、概要や事前準備、決め方などを詳しく解説していきます。ぜひ最後までご覧になってください。
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目次
資産運用に大切な考え方・アセットアロケーションとは
資産運用で大切な考え方として「アセットアロケーション」という考え方があります。アセットアロケーションが具体的にどのような考え方なのか、詳細を確認していきましょう。
アセットアロケーションとは「資産の配分」のこと
アセットアロケーションとは「資産の配分」を意味します。たとえば、株式投資を行う場合は、東証一部企業の国内株式や新興市場の株式、海外の先進国の株式、発展途上国の株式などリスクの異なる株式が数多く存在します。リスクの異なる株式に対して、どのように資産配分をしていくかということは、アセットアロケーションの代表的な考え方です。
アセットアロケーションが重要な理由
資産運用を行う際は、様々な銘柄を組み合わせてリスク分散を行うことが重要です。特定の銘柄に対して資金を集中させる投資手法もありますが、中長期の資産運用を前提にするならば、アセットアロケーションに基づいた分散投資の方が適切です。
適切に資産を配分することで、リスクを最小限に抑えた資産運用を実現しやすくなります。1つの投資先が落ち込んでしまっても、他の投資先が上がれば損失分を補てんすることが可能です。
ポートフォリオとは「金融商品の配分」のこと
アセットアロケーションと混同しやすい言葉として「ポートフォリオ」が挙げられます。しかし、両者には明確な違いがあります。端的に言えば、アセットアロケーションは「資産クラス(資産の種類や分類)」の割合や配分を指します。一方でポートフォリオはアセットアロケーションに従って資産クラスごとの「具体的な金融商品」を決めたものになります。資産の配分というよりも、どの金融商品に投資するか組み合わせを示したものです。分散投資をするという側面は、アセットアロケーションと同様ですが、あくまでも金融商品の具体的な配分に着目した用語であると考えてください。
アセットアロケーションを決める前に考慮すること
アセットアロケーションを決める前に、いくつか考慮すべき点があります。いきなりアセットアロケーションを決めてしまうのは避けたほうがいいです。アセットアロケーションを決める前に、まずは下記の4点を確認しておきましょう。
● 自分の年齢や今いるライフステージ
● リスク・リターンをどのくらい許容するか
● 世界の景気変動や情勢、金融政策にも目を配ろう
● 投資候補の人口構造などファンダメンタルズも押さえておこう
自分の年齢や今いるライフステージ
まずは、自分の年齢や今現在のライフステージについて確認しておきましょう。年齢やライフステージによって、投資に使える資産の量は異なってきます。投資によって生活が苦しくなってしまっては元も子もありません。資産的に無理のない範囲で投資を行うことがアセットアロケーションの前提です。
リスク・リターンをどのくらい許容するか
リスク・リターンをどのくらい許容するかも事前に決めておきましょう。投資の世界において、リスク・リターンは表裏一体です。高いリターンを求めるのであれば、高いリスクを許容しなければいけません。許容できるリスクの大きさによって、将来手に入れ得るリターンの大きさも自ずと決まってきます。
リスクとリターンのバランスを見つつ、自分の資産でどこまでリスクを許容できるかどうか把握しておきましょう。
世界の景気動向や情勢、金融政策にも目を配ろう
世界の景気動向や国際情勢に目を配ることも重要です。現在は経済のグローバル化が浸透していますので、他国の景気変動が日本の景気に大きく影響してきます。また、国際情勢の変化も経済に影響を与えやすいです。特に石油や天然ガスなどの資源を保有する国が紛争などに巻き込まれると、原材料の高騰につながりやすく、製造業や運輸業を中心に業績に影響が出てきます。日本国内のニュースのみならず、世界の景気動向・国際情勢の変化も日ごろから見ておきましょう。
投資候補の人口構造などファンダメンタルズも押さえておこう
投資候補先の国の人口構造を押さえておくことも重要です。人口構造は中長期的に国内の産業に影響を与えます。特に少子高齢化が顕著な国の場合は、国内の労働力不足・需要の低下によって産業界全体が停滞してしまう可能性が高いです。高齢者の人口が増えていても、子どもの出生数が増えている等、人口構造においてポジティブな材料があるか否か確認しましょう。
具体的なアセットアロケーションの決め方
それでは、具体的なアセットアロケーションの決め方を確認していきましょう。
アセットアロケーションは、大まかに下記の流れに沿って決めていきます。
1. 現金資産とその他の運用資産をどうするか決める
2. 何種類に分散するか決める
3. 資産配分のツールを使って過去の傾向をみる
4. 運用資産は相関の低いものを組み合わせる
現金資産とその他の運用資産をどうするか決める
まずは、現金資産とその他の運用資産をどうするか決めていきます。基本的には現金資産の中から余剰部分を運用資産に充てるのがベターです。ただし、リスクを許容して余剰部分を超えた現金資産を運用に充てるのも一つの方法です。どれくらいの期間で資産運用を行うのかによっても、投入する現金資産の金額も異なってきます。リスク・リターンを考慮しながら、現金資産・運用資産の配分を決めていきましょう。
何種類に分散投資するかを決める
次に、何種類の銘柄に分散投資するか決めていきます。資産に余裕がある場合は、可能な限り分散先の種類は多い方が良いです。相関係数や成長業界、国の景気変動なども加味しながら分散先を選定していきましょう。
資産配分のツールを使って過去の傾向をみる
資産配分ツールを使って、過去の運用傾向も確認しましょう。ネット上では無料で利用できる資産配分ツールが数多くあります、また証券会社でも資産配分ツールが提供されていますので、使いやすいツールを使って過去の資産配分・運用傾向をチェックしてみてください。
運用資産は相関の低いものを組み合わせる
運用資産は相関の低い銘柄・商品を組み合わせるのが重要です。ただ、相関という言葉について聞きなれない方が多いかもしれません。
相関とは何か?
相関とは、数値の動きなどに関して互いに連動した関係性を持っていることです。投資の世界でいえば、たとえば鉄鋼業と製造業は相関のある業界といえます。鉄鋼業において鉄鋼の生産コストが高まれば、鉄鋼を利用した製品を作る製造業でも生産コストが高まります。このため、鉄鋼業の業績変化が製造業にも影響を与えるのです。
相関係数の低い資産を組み合わせる
相関係数は、相関している銘柄・ファンド・指数においてどれくらい値動きの連動性があるかを示した指標です。1から-1の範囲で表されます。相関係数が1に近いと、片方の上昇率・下落率が大きくなった際に、もう片方の上昇率・下落率も大きくなってきます。相関係数が0に近いと、互いの値動きに関連性がないとされます。相関係数が-1に近いと、片方の上昇・下落に対して、もう片方の値動きが逆の動きをする可能性が高くなります。リスクヘッジをするためには、相関係数が0~-1となる組み合わせを選択することが重要です。
資産配分のツールを使って過去の傾向をみる
資産配分ツールを使って、過去の運用傾向も確認しましょう。ネット上では無料で利用できる資産配分ツールが数多くあります、また証券会社でも資産配分ツールが提供されていますので、使いやすいツールを使って過去の資産配分・運用傾向をチェックしてみてください。
どんな投資対象があるのか
資産の配分先としておすすめの投資対象として、下記の4つが挙げられます。
・株式
・FX
・投資信託
・不動産投資
株式
株式投資では国内外の株式を購入して売買益や配当金を狙っていきます。中長期のスパンで運用したい場合は、東証一部上場の大企業や世界的に有名な企業への株式投資がおすすめです。リスクをとって資産を増やしていきたい場合は、ベンチャー企業や中小企業の株式へ資産を分配しても良いでしょう。
FX
FXは日本語で「外国為替証拠金取引」と呼びます。入金した金額を担保にして、保有金額以上の取引を行える点がFXの特徴です。少額で大きなリターンを狙うことができる分、損失も拡大しやすいので資産管理に注意を払う必要があります。余裕資金の範囲でリスクをとって運用していくのがおすすめです。
投資信託
投資信託では、株式や債券など複数の金融資産に対して分散投資を行っていきます。投資信託の種類によって分散投資先の銘柄は様々です。中には新興国の債券やベンチャー企業の株式を取り入れた投資信託もあります。分散投資を自動的に行えるので、投資経験が浅い方でも無理なく運用できる点が強みです。
不動産投資
不動産投資では主に賃貸・マンション経営による家賃収入の獲得を狙っていきます。実物資産である分、金融資産の運用よりも安定して収益を得やすい点がメリットになります。ただし、不動産投資には専門的な知識が不可欠です。初心者の方が自分で不動産を買い付けて運用していくのはかなりハードルが高いため、信頼のおける不動産投資会社に相談するのが望ましいです。
資産を分配し賢く投資しよう
アセットアロケーションは投資において「資産の配分」を行う考え方になります。複数の銘柄に対して資産を配分して、リスク分散を図ることを重視する点が特徴です。アセットアロケーションの考え方は、中長期の資産運用に対して特に重要になってきます。