シングルマザーでも住宅ローンは組める?審査を通過するために確認しておきたいこと

シングルマザーでも住宅ローンは組める?審査を通過するために確認しておきたいこと

男性と同じ様に女性も働く様になりましたが、女性一人で住宅ローンを組んでいる人はまだまだ少なく、未婚・離婚・別居等でシングルマザーになった女性が住宅ローンに不安を感じるケースは少なくありません。
金融機関は性別ではなく、ある一定の条件を満たしきちんと返済してくれる人かどうかを総合的に判断して融資の可否を決めています。
では、その一定の条件とはどのようなものでしょうか。本記事では住宅ローンを利用する流れや金融機関のチェックするポイント、シングルマザーが審査を通過するために確認しておきたいことをご紹介します。
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住宅ローンを利用する流れ

住宅ローンを利用するには金融機関の2つの審査をクリアすることが絶対条件です。
審査の種類は事前審査と本審査があり、事前審査を通過した後に本審査をします。
事前審査にかかる時間は2~3日程度ですが、本審査ではより細かい部分まで審査をするため1~2週間程が目安と言われています。
本審査前に売買契約することがあまり知られていないですが、本審査は必要書類も多く審査時間も長いので、審査する間に他の購入検討者に買われてしまいます。
また、事前審査が問題なく通っていればほぼ本審査も同じ審査結果が出てくるため、いち早く物件を確保するために一般的には上の図の様に本審査の前に売買契約をしてしまいます。

事前審査で金融機関がチェックするポイント

事前審査をまず通過するためには、金融機関がチェックするポイントを抑えておく必要があります。
以下、一般的にチェックされると言われているポイントです。

年齢と借入期間

返済期間を短くすると月々の返済金額が一気に上がってしまい、また近年ネットバンキングを利用すれば繰り上げ返済の手数料をとらない金融機関が増えてきたため「取り敢えず35年で借りて、余裕ができたら繰り上げ返済」という流れがあります。
ただし、住宅ローンは完済時79歳までで最長35年間以下の返済期間と決まっています。
そのため50歳の時に35年のローンを組もうとすると年齢オーバーのため借入期間の短縮(35年ローンでの審査は否決)で回答結果が帰ってくる可能性が高くなります。
ローンが組める年数がどのくらいあるか、その中で返済期間は決める必要があります。

健康状態

ほとんどの金融機関では団体信用生命保険(団信)への加入条件を必須にしています。
*団体信用生命保険…住宅ローン返済中、契約者に万が一の事態があった時に住宅ローンの残高が0円になる保険のこと。
既にガンや心臓病、精神疾患等の持病がある場合には、団信への加入ができないため否決になる可能性があります。
中には団信への加入を任意にしている商品を扱っている金融機関もあるため、健康状態に不安のある方は、各金融機関の商品を一度確認することをおすすめします。

勤続年数や雇用形態

金融機関の審査基準はどの項目も「きちんと返済してくれるか」です。
経歴が数か月でいくつもの会社を辞めていたり、転職直後、不安定な雇用形態の場合は、安定した収入が確保できないとみなされ、審査結果が否決になる可能性があります。

返済比率

返済比率とは「年収に占めるローンの年間返済額の割合」です。
計算式は
年間返済額÷年収×100
となり、割合が高ければ高い程、生活の余裕はなくなるため滞納の可能性が高くなり、審査通過が難しくなります。
一般的には返済比率30%を超えなければクリアと言われています。

対象物件の担保評価

住宅ローンの支払いが何か月も滞納されている場合等に備えて、金融機関は融資すると同時に物件に抵当権を設定します。
抵当権が設定されていることにより金融機関は、契約者(債務者)が返済不能となった場合に、物件を競売にかけるなどして債務の回収を行います。
このため、物件にそれだけ価値があるのかという点も判断基準となります。

個人信用情報

個人信用情報とは、きちんと返済できる人と信用できるかを判断するための情報で、主にクレジットカードやカーローン等の返済状況・履歴を確認します。
もし過去に滞納の履歴があれば事前審査上マイナス評価となり、信用できるだけの支払いが難しいと判断されれば審査結果は否決となります。
一度のミスが今後の人生で融資を組めなくなるのはあまりにも酷いため、多くの金融機関が遅滞履歴から5年、10年経過すればその後は問題なく取引可能等の線引きがあります。
金融関係が心配であればCIC(主にカードの支払い情報)を開示してどのような登録があるか確認しておくこともおすすめです。

シングルマザーが審査を通過するために確認しておきたいこと

年収200~300万円が目安

シングルマザー以外でも同じですが、生活費用+ローンの支払いが必要になる訳ですから、最低でも年収200~300万円程度あることが融資利用の目安になります。
また、大手金融機関になるとこの最低ラインが引き上げられるため、金融機関選びも重要になります。

毎月のローン返済は年収の20~25%程度

家賃は年収の30%程度が目安と言われていますが、シングルマザーの場合、共働きに比べて母親の収入や経済状態が生活に直結するため、より余裕のある資金計画を立てておく必要があります。

自己資金をある程度用意する

シングルマザーで借入金額や借入期間を延ばすのはベストではありません。生活が苦しくならない程度に、最初に自己資金を出しておきましょう。それだけの経済力があると判断され事前審査でも有利になります。

親子リレーの利用を検討する

*親子リレーローン…親と子どもの二世帯で組む住宅ローンのこと。親が定年を迎えるタイミングで親から子どもへとローンが引き継がれる。
親と同居する、子どもと同居する等の予定があれば、親子リレーも検討してみましょう。ただし、一緒にローンの名義に入るということなので、本人の意思を必ず確認して合意の上で進めましょう。

税制を利用する

条件を満たせば下記2つのいずれかの税制が利用できます。

●ひとり親控除
*ひとり親控除…納税者がひとり親である時に、一定の要件を満たしていれば所得から35万円を控除できる制度。

ひとり親控除の対象となる人の範囲

ひとり親とは、原則としてその年の12月31日の現況で、婚姻をしていないことまたは配偶者の生死の明らかでない一定の人のうち、次の3つの要件のすべてに当てはまる人です。

(1)その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと。

(2)生計を一にする子がいること。

この場合の子は、その年分の総所得金額等が48万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。

(3)合計所得金額が500万円以下であること。

(国税庁,No.1171 ひとり親控除, https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1171.htm、2022年9月20日)

●寡婦控除
*寡婦制度…納税者が寡婦(夫や妻と死別、離婚した後に婚姻をしていない方、夫や妻の生死が明らかでない方)である時、所得から27万円を控除できる制度。
寡婦控除の対象となる人の範囲(令和2年分以後)

寡婦とは、原則としてその年の12月31日の現況で、「ひとり親」に該当せず、次のいずれかに当てはまる人です。納税者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいる場合は対象となりません。

(1)夫と離婚した後婚姻をしておらず、扶養親族がいる人で、合計所得金額が500万円以下の人

(2)夫と死別した後婚姻をしていない人または夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人

なお、この場合は、扶養親族の要件はありません。

(注)「夫」とは、民法上の婚姻関係にある人をいいます。

(国税庁,No.1170 寡婦控除, https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1170.htm、2022年9月20日)

まとめ

シングルマザーであっても金融機関や金融商品、組み方を工夫すれば住宅ローンの利用は難しくありません。
ただし、一人で金融から不動産の担保、税制のことまで調べるのは時間と労力があまりにもかかります。
効率的にマイホームの購入を進めるには、金融機関の特徴や物件のことをよく知っている不動産会社に一度相談してみましょう。

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