不動産投資をするなら知っておくべき定期点検の重要性
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2024/05/31
不動産投資において、不動産を適切に管理・保守することは非常に大切です。そのためには、不動産の点検を定期的に行うことが不可欠です。不動産オーナーが知っておくべき点検は、「法定点検」と「定期点検」の2種類です。法定点検は国が定めたルールに基づいて行うもので、実施は法律で義務付けられているため、多くの不動産オーナーが認識し実行している点検です。一方で、定期点検は不動産オーナーの裁量により任意で実施されるもののため、あまり積極的でない不動産オーナーがいるのも事実です。しかし、この定期点検が不動産投資を成功させるかどうかの鍵となります。本記事では、不動産投資をするなら知っておくべき定期点検の重要性について解説します。
目次
不動産投資における2種類の点検
法定点検
建物の安全性や機能性を保持することを目的として、国や自治体によって義務付けられている点検のことです。もしも事故により大きな被害が出た場合は管理者としての責任を問われることはもちろんのこと、この法定点検を怠ったり虚偽の報告をすると100万円以下の罰金を科せられる場合もあります。
法定点検の例
参照:国土交通省「マンション管理標準指針 コメント 四 建物・設備の維持管理」より筆者作成
定期点検
法定点検とは別で、不動産オーナーが自主的に行う点検のことです。この点検は法的な義務ではありませんが、物件の維持管理や価値の保存を目的として、決められた周期で計画的に実施されます。
定期点検の例
定期点検をするメリット
こまめに定期点検を行い不動産の状況を把握することは以下のようなメリットがあります。
早期発見・修繕により修繕費用を抑えることができる
定期的な建物点検は、初期段階での小さな問題を早期に捉え、それが大きな問題へと発展するのを防ぐために非常に有効です。たとえば、点検中に建物の小さなクラック(ひび割れ)やコーキングの劣化を発見した場合、すぐにその部分の修繕を行うことで、雨水の内部侵入を防ぎ、結果、雨漏りなどの深刻なダメージの発生を防ぎます。また雨漏りが起こった際は入居者への家財の補償が必要になるなどのケースも考えられますので、早急な処置はやはり重要です。このように、早期に対応することで、将来的にはもっと広範囲で深刻な不具合が発生し、高額な出費が必要となってしまうリスクを大きく減らすことにもつながります。
不具合を予測することで修繕計画も含めたキャッシュフローが把握できる
定期点検を実施することにより、建物の現状を詳細に把握し、将来どの部分の修繕が必要になるかを予測することができます。例えば、外壁を触って指に塗装が付く(チョーキングする)場合は、塗装が剥げて水を弾かず建物に水が沁み込みやすい状態を表しているため、少なくとも3~5年以内には外壁塗装を含め大規模修繕を行うことが望ましい状態であることを表しています。予算が限られている場合、すぐに全面的な大規模修繕を行うのが難しいこともあるため、まずは最も緊急性の高い部分、例えば錆や腐食がすでに起こっているような鉄部の補修・塗装などから対応することも一つの方法です。これにより、建物全体の劣化を抑えつつ、将来的にかかる修繕費を計画的に管理することが可能になります。このように優先順位を設定し、効率的に予算を配分することで、予期せぬ高額な出費を防ぐことができます。大規模修繕工事を実施し一度にメンテナンスを行う方が総コストは低くなりますがキャッシュフローと比較しながら無理のない工事計画を立てることも重要です。
↓チョーキングが見られる場合
美観アップでイメージアップを図ることができる
定期点検は、建物や敷地の美観を維持する上で重要な役割を果たします。例えば、マンションのゴミステーションに回収対象外の家具家電品などが捨てられている場合、ここなら不法投棄をしても大丈夫と目を付けられ、近隣からの不法投棄を招くことがあります。しかし、日々の清掃と定期点検をしっかり行うことで、環境を清潔に保つことができ、不法投棄を防ぐことも可能です。これは、入居者の満足度を向上させるとともに、内見時の新規入居者に対しても良い印象を与えます。その結果として、入居率の向上や賃料収入の安定が期待できます。
↓マンションのごみ捨て場に不法投棄された粗大ごみ
修繕費を保険で賄うことができる
定期点検中に建物や敷地内で修繕が必要な箇所を見つけた場合、保険会社や契約内容によって異なるケースもございますが、法的に事故発生から原則3年以内であれば保険を申請して修繕費を賄うことが可能です。しかし、現地を訪れずに長い間建物の状態を確認していないと、気づかないうちに事故が起こり、保険申請の期間を逃す可能性があります。定期点検をこまめに行うことで、建物の状況を常に把握し、事故が起こった時期を明確に特定できるため、保険申請がスムーズに進みます。
・よくある保険で賄うことができるケース
外壁やポストのキズ・へこみ
落書きなどのいたずら
階段の段鼻にあるノンスリップの破損
駐車場出入口の当て破損
金網・フェンスの当て破損
台風や大風による屋根材やベランダ蹴破り戸の被害など
定期点検をする前に知っておきたいこと
定期点検の箇所と頻度
建物の構造、築年数、気候、そして立地条件に応じて、点検の範囲と頻度は異なります。例えば、台風が多い地域では、台風シーズンの前後に屋根や外壁の破損がないか特に注意深く点検する必要がありますし、寒冷地域では、冬季前に配管の凍結や屋根の積雪による損傷の有無を重点的にチェックし、予防措置を講じることが重要です。これにより、建物を長期にわたり安全かつ快適に維持することができます。
保険内容
建物の修繕費用を保険で賄えるかどうかは、オーナーが加入している保険の種類と補償範囲によります。そのため、自身が加入している保険の内容が、どのような損害に対してどのぐらいカバーしてくれるかを正確に把握することが重要です。不要な補償は削除してコストを抑え、リスクが高い項目には手厚い補償を設定するなど、運営する不動産の状況に合わせて保険をカスタマイズすると良いでしょう。さらに、保険申請をスムーズに進めるためには、修繕見積もり、損害報告書、写真などの必要書類や申請手続きの流れを事前に確認しておくことが効果的です。これにより、何かあった際に迅速かつ適切に保険のサポートを受けることができます。
今あなたの不動産がどんな状況かご存知ですか?
不動産投資では、定期点検は任意ですが、その重要性は非常に高く、こまめに定期点検を行い、不動産の状況を把握することで、コストを抑えながら不動産の価値を維持することができます。どの不動産に対して、どのような点検を、どれくらいの頻度で行うかを適切に定めることができれば、効果的な不動産管理と長期的な収益確保につながります。
50年以上の経験と10,000戸以上の管理実績を持つ当社は、不動産の定期点検を専門的にサポートしています。経験豊富なプロフェッショナルが最適な管理プランを提案し、安心して投資を続けられるようサポートします。定期点検についてのご相談や詳細情報が必要な場合は、お気軽に当社にお問い合わせください。