コンセプト型賃貸物件とは?具体的なプラン例やメリットデメリットを解説します。

コンセプト型賃貸物件とは?具体的なプラン例やメリットデメリットを解説します。

賃貸経営で代表的なリスクである「空室リスク」。
空室対策としては、デザインにこだわりを持たせる建物「デザイナーズマンション」などありますが、最近では他の賃貸物件との差別化を行い、入居者からの人気を誇っている物件があります。
そういった物件の中には、これからの賃貸物件の一つの形になると言われている「コンセプト型賃貸物件」があります。

コンセプト型賃貸物件とは

一般的な賃貸住宅との違いは、ある特定の層をターゲットに設定している点となります。

これまでも賃貸住宅は「ファミリー向け」「単身者向け」「女性専用」「ペット飼育可」など、ターゲット層を区別していましたが、コンセプト型賃貸は、生活する人数や世帯構成などに合わせるのではなく、特定の趣味・嗜好を持つ入居者をターゲットに定めて設計・建築された賃貸住宅のことです。

いわゆる「コンセプト(=テーマ)」を持たせて造られます。例えば、読書が好きな人向け・楽器演奏が好きな人向け・オートバイ好きな人向けなど、ターゲット層を絞り明確にする特徴があります。

そのため、特定の層からの満足度が非常に高い物件になりますが、対象とする市場が決して広くはないため、マーケットリサーチが非常に大事になります。

 

具体的なプラン例

「趣味」「入居属性」に特化

ターゲット:愛読家

愛読家をターゲットとしたコンセプト型賃貸としては、本棚に囲まれた書斎スペースを設けた事例などがあり、十分な収納力のある本棚を設置し、手元に本を置きたい愛読家のニーズに応え、書斎スペースで作業をしやすいよう、備え付けのデスクや手元灯、コンセントを準備します。

このような物件は、読書家だけでなくテレワークの需要も拾えます。

ターゲット:バイク好きな人

バイクが好きな人向けとしては、1階部分にガレージを作り、室内からガレージに停めている愛車を眺められるように設計。

大型バイクも入る広いガレージを備え付けたり、メンテナンスに欠かせない水道・コンセント・換気扇も完備し、バイクに必要な物をすべて置けるように、収納力のある棚や重量ハンガーも準備します。

 

ターゲット:楽器演奏者

楽器演奏をする音大生・ミュージシャンやペットと快適に暮らしたい人など、入居者属性を絞ったコンセプト型賃貸もあります。

たとえば、楽器演奏をする音大生・ミュージシャンなどをターゲットとした物件では、24時間楽器演奏に対応できるような高い遮音性・防音性を実現したり、楽器を運びやすいような導線を確保します。

ターゲット:ペットと暮らしたい人

ペットと暮らしたい人向けは、単なる「ペット相談可」という物件ではなく、ペットと共に生きることを主軸として設計・建築する「ペット共生マンション」があります。

ペット専用の足洗い場や出入口、キャットタワー、ドッグランなど、ペット専用の設備を供え、ペットと飼い主が快適に暮らせるような設備が備わっていることが特徴です。

ペット共生マンションを選ぶ人は基本的にペットを飼う人であるため、一般的な物件よりもペットによる騒音などのトラブルを避けやすいメリットもあります。
このような「趣味」に特化したコンセプト型賃貸物件は「好きなものに囲まれて暮らしたい」「趣味を思う存分楽しみたい」人のニーズに的確に応えています。

 

マーケットリサーチが大事


コンセプト型賃貸はターゲットを限定するため、一般的な賃貸物件よりもマーケットリサーチが非常に重要となります。

狙うターゲット層が見当違いであったり、狙ったターゲット層のニーズをきちんと把握できなかったりすると、割高であることから客付けに苦戦してしまう可能性があります。

そのため、地域性なども踏まえた上で「本当にこのターゲット層からの需要があるのか」「価格に見合った付加価値が提供できるのか」などの点をしっかりと考える必要があります。

 

コンセプト型賃貸物件のメリット・デメリット

メリット

1. ニーズが合致するターゲットには効果的

ターゲットを絞り込むことで、訴求力が高い告知活動ができます。

またこのような特徴のある物件や文言はインパクトがあるため、興味のある人の目にとまりやすい傾向にあります。

2. 長期入居の可能性がある

趣味嗜好と物件が合致している場合、それ以上の物件を見つけることが難しくなるため、長期入居の可能性が期待できます。

3. 賃料を相場より高くできる

コンセプトに合わせた物件にすることで、希少性が高まり、周辺相場より家賃が高くても入居が決まる場合も多くあります。

4. 入居者同士のトラブルが少なくなる

共通の趣味嗜好をもった人が集まるため、トラブルが少なくなります。

また、入居者同士のコミュニティ形成にも繋がることが期待されます。

 

デメリット

1. 建築コストが高い

コンセプトに合わせた物件を造るために、特殊な設備や建材などを使用する場合があります。

その場合、需要が限られている分、設備や建材単体の価格が高く、トータルでのコストも高くなる場合があります。

 

2. 需要が少ない場合がある

コンセプトに特化しても、その地域にターゲットとなる人があまり住んでいない場合やターゲット層の希望賃料相場でない場合もあります。

 

3. 運営にコストや手間がかかる

特殊な設備などは管理面でも手間やコストが多くかかります。

 

最後に

コンセプト型賃貸物件は、あえてターゲットとなる入居者を絞り込む戦略を立てています。

そのため、コンセプトが明確でなかったり、そもそも需要のないターゲット層を狙ってしまったりすると、かえって客付けに苦戦してしまう可能性が高くなります。

コンセプト型賃貸に挑戦する場合はマーケットリサーチをしっかりと行い、ターゲットとなる入居者が求める理想の物件を追求していくことが大事となります。

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