火災保険と地震保険。それぞれの役割について
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2022/07/05
今回は自然災害の対策として保険に着目してみたいと思います。不測の事態による賃貸経営上のリスクヘッジとして、火災保険の加入が考えられます。
目次
火災保険の役割
火災保険とは、火災や天災、建物外部からの物体の 衝突、水濡れ、盗難などにより建物や家財に生じた損害に備える保険です。
火災保険の役割は、概ね下記の 2 点への対策といえます。
1.建物の物的損害への対策
2.建物が原因で生じた事故による身体や物への損害への対策
では、項目ごとに内容を確認してまいりましょう。
1.建物の物的損害への対策
物的損害への原因となるものは、火災・落雷・破裂・爆発・風災・ひょう災・雪災・水災・水濡れ・盗難・破損・汚損等が挙げられます。
これらの被害について、免責額が設定されている場合は免責額未満の被害については、保険金が支払われません。また、保険金請求額が免責額を超えた場合は、免責額を差し引いて支払われます。
さらに、保険会社の契約によっては、水災や、水濡れを契約時の選択により補償対象外とされている場合があるので注意が必要です。
これらの項目の付帯の有無で、保険料に多少の増減がありますが、この数年に発生している台風等の被害を見ていると看過できないものであるといえます。
建物の物的損害の主立った事例は下記のようなものが考えられます。
風災
風災とは、台風や突風、竜巻、暴風などの風による災害の事です。これらに起因する被害は、最近頻繁に発生しており物的損害の原因の大部分をしめるといえます。
強風による窓ガラスや蹴破り戸の破損が代表的な事例です。
水災
水災補償では、台風、暴風雨、豪雨等による洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ・落石等の水による災害が原因で、建物や家財が所定の損害を受けた場合に補償が受けられます。
保険会社の規定にもよりますが、床下浸水(居住の用に供する部分の床を超える浸水)、 地盤面より 45cm を超える浸水等をいいます。この保険は、付帯の有無を選択できるものであるので、河川の近くにある建物では付帯されているほうが望ましいと考えられます。
集中豪雨の際に発生している大量の雨水がマンホールや側溝から地上にあふれるような、都市型水害もこの保険で補償される可能性があります。
2.建物が原因で生じた事故による身体や物への損害への対策
一般的に施設賠償や建物賠償と言われるもので、特約として付帯する保険です。
外壁からタイルが落下し自転車を破損させてしまった場合や、階段の手摺が外れて手摺につかまっていた人が転倒しけがをした場合などが対象となります。
所有している建物や施設の構造上の欠陥・管理不備によって事故が発生し、第三者が損害を受けた場合の補償ですので、非常に重要な特約です。
また被害を受けた第三者への損害賠償金の補償だけでなく、訴訟になった時の弁護士費用や訴訟費用も 施設賠償責任保険で補償される場合もあるので、付帯していない場合は見直しをされることをお勧めいたします。
地震保険の役割
地震保険は、火災保険では補償されない地震や噴火、またはこれらによる津波を原因とする損害や火災・損壊・埋没・流出の被害を建物や家財に生じた場合に備える保険です。地震保険には次の特徴があります。
①地震保険は火災保険とあわせて契約する特約の一つであり、地震保険単体では加入できないものとなっている。
②地震保険は地震保険法に基づき、損害保険会社各社が募集している地震保険を政府が再保険しているため、政府と民間の損害保険会社が共同で補償している。
よって、どの保険会社で契約しても保険会社ごとに差異がなく、地震保険の補償内容や保険料は同一。
③地震保険は、火災保険とは異なり実際の損害額を保険金として支払われるものではない。損害の程度によって、全損、大半損、小半損、一部損の認定がなされ、それぞれ地震保険金の100%、60%、30%、5%が支払われます。一部損に至らない場合は、保険金は支払われない。
④損害認定の対象は、建物の構造によるが主要構造部であり、その損害の程度を認定される。
まとめ
地震での建物の倒壊というと、熊本地震や北海道胆振東部地震などの震度7を超えるような地震を想像しがちですが、2018年6月に大阪府北部を震源として発生した震度6弱の地震では、建物が倒壊するほどの状態ではなかったものの、弊社で管理する建物の中でも一部損が認められる程度の損壊が生じました。南海トラフ地震が予想される中、地震保険の付帯は地域によっては必須となりうるものであります。
以上基本的な部分について、説明をさせていただきました。建物の立地、年数、構造により加入を検討すべき特約もございます。保険の見直しをされる場合は、ご相談ください。
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