相続した実家を売却したいけど相続発生から売却まではどうする?
- 売る
2022/11/26
親が高齢になってきて相続について考えている人は多いのではないでしょうか。
相続財産には動産物や現金、有価証券の他、不動産も含まれます。中でも身近なのは生まれ育った実家です。
実家を相続した時、何から手を付ければいいのでしょうか。
まだ先の話と思う方もいらっしゃるとは思いますが、知っておくべきポイントが沢山あるため今のうちからしっかり理解を深めておきましょう。
本記事では相続の流れや売却時の費用、利用できる税制の優遇措置、相続発生前に準備しておくべきこと等を詳しく解説します。
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目次
相続発生から売却までの流れ
相続や売却の流れは上の図の様に進みます。まずはこの流れで知っておくべきポイントを解説します。
1.遺言書がある場合とない場合
遺言書がある場合は遺言書通りに遺産を分割し、遺言書がない場合は相続人を確認し遺産分割協議をする必要があります。
*遺産分割協議…法定相続人全員で遺産をどう分割するか話し合うこと。
法定相続人について
配偶者は常に相続人になります。配偶者に続く法定相続の順位は次の通りです。
第1順位 直系卑属(子、子が既に死亡している場合は孫)
第2順位 直系尊属(親、祖父母)
第3順位 兄弟姉妹(兄弟姉妹が既に死亡している場合は甥・姪)
第1順位から該当する相続人がいない場合は、第2順位、第3順位と順番に権利が移ります。
*被相続人の子が養子であっても、相続に関して実子と同じ扱いになります。
法定相続分について
それぞれの相続人がどのような割合で相続するか(法定相続分)についても民法によって定められています。
法定相続分は以下の通りです。
配偶者のみの場合(子なし)
配偶者に100%の遺産相続となります。
配偶者と子(2人)
配偶者に2分の1、残りの2分の1を子2人で分けます。
→配偶者 2分の1/子 4分の1/子 4分の1
配偶者と父母
配偶者に3分の2、残りの3分の1を父母で分けます。
→配偶者 3分の2/父 6分の1/母 6分の1
配偶者と兄弟2人
配偶者に4分の3、残りの4分の1を兄弟2人で分けます。
→配偶者 4分の3/兄 8分の1/弟 8分の1
遺産分割の方法
遺産分割の方法は全部で3通りです。
現物分割
現物分割は、不動産などの財産をそのまま相続する分け方です。
例えば相続人が3人いるとすると、不動産、預貯金、車の遺産がある場合、それぞれの項目を相続するということです。
土地の場合、複数に分筆して各法定相続人が取得することもできます。
代償分割
代償分割は、1人の相続人が財産を取得して他の相続人に各割合のお金を払って清算する分け方です。
換価分割
換価分割とは、不動産などの相続財産をお金に換金し、各相続人へ相続する分け方です。
1円単位まで正確に分けることができるので、後々のトラブルが回避できる策として知られています。
2.相続登記
相続した不動産を売却するためには相続登記をする必要があります。
*相続登記…個人から相続人へと所有者の名義を変更する登記のこと。
相続登記を忘れると、売却できないのはもちろん、相続人間のトラブルや、相続人が亡くなり更に相続関係が複雑になる等のリスクがあります。相続登記は司法書士に相談すればスムーズに進みます。
3.査定~物件の引渡し・登記
こちらは通常の不動産売却と変わりありません。相続登記も終えていますので、相続人自身が自分の所有不動産として売却活動を行います。複数の相続人で売却活動を進める場合は、各相続人が足並みを揃えなければいけません。連絡を取り合ったり、集まることが難しい場合は委任状などで取引する人を絞っておきましょう。
査定の流れや不動産会社へ依頼する時のポイント等はこちらの記事もご覧ください。
参考:不動産の査定はどうやってする?査定の流れや事前準備物、査定依頼時のポイントを解説
相続した実家を売却する時にかかる費用
相続した不動産の売却にかかる費用は、マイホームの売却時にかかる費用とほとんど同じです。基本的には印紙代、登記費用、仲介手数料の3つが売却時に発生し、譲渡益(売却益)が出た場合に譲渡所得課税が発生します。
参考:不動産の売却手続きにかかる税金とは。マイホーム売却の場合は特例が適応できる?
相続した不動産を売却した時の税制優遇措置
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例
相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。
(国税庁,No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例,2022/10/14)
この特例により相続財産の総額から3,000万円を差し引くことで、課税対象となる相続財産の額が0になれば相続税は発生しません。
相続税の基礎控除
課税対象となる相続遺産から基礎控除額を引くことで、相続税を大きく減らすことができます。
計算式は以下の通りです。
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
この式から算出した金額が相続財産の課税総額よりも上回れば相続税は発生しません。
不動産売却にかかる税金の支払いは相続人全員で
換価分割により相続した不動産を売却した場合、不動産売却にかかる税金の支払いは相続人全員で支払います。確定申告も各相続人となります。
相続発生の前に準備しておくべきこと
人が亡くなった後には死亡届に年金受給停止の手続き、お葬式等、目まぐるしく物事が進むため中々しっかり時間をとることが難しい場合があります。
心に余裕のあるうちから少しずつ進めておくことがおすすめです。
実家を購入した時の売買契約書や間取図、登記簿謄本などを探しておく
相続した不動産を売却する時、相続人は被相続人の取得費と所有期間を引き継ぐことができます。
もし売買契約書がなく実際の取得費が不明な場合は、売却金額の5%相当が取得費として計算されてしまうため、この実際の取得費を把握は非常に重要です。
また他の書類に関しても、手元にある方がスムーズに売却活動が進むため家のどこにあるのか、確認しておきましょう。
財産の把握
預貯金、車、会員権、SNSアカウント等、不動産以外にも相続財産は沢山の項目があります。
どのような財産があるのか、アカウントのID・パスワード等、整理しておきましょう。
遺言書の確認、相続人の確定
遺言書がなければ作成の手続き、被相続人の戸籍謄本を取得し相続人を確認しておく等、予め準備しておきましょう。
まとめ
相続した不動産を売却するには沢山のステップを踏む必要があり、各種税金が発生する可能性もあります。
一連のステップを滞りなく済ませてスムーズに実家を売却するには不動産のプロに相談することをおすすめします。
相続発生前から、相続登記をしてもらう司法書士や、相続に関する協議を取り持つ弁護士の紹介をしてもらうこともできます。
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