賃貸借契約の電子化について

賃貸借契約の電子化について

電子契約とは、電子文書に電子署名をして取り交わされる契約のことをいいます。
新型コロナウイルスの蔓延により、接触機会を減らすためにオンライン化が進み、紙媒体よりも電子媒体を使う機会が増えたこともあり、不動産業界においても契約書類などの電子化が進む中、今後も更に普及していくことが想定されます。
これまで紙で交わしていた契約と比べ、賃貸借契約の電子化のメリットや法的効果条件等を解説していきます。
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電子契約のあらましと現状

2013年6月「世界最先端IT国家創造宣言」(閣議決定)を受けて、同年12月「アクションプラン」が策定されました。その中で、宅地建物取引業法第 35 条に基づき宅建士が行う重要事項説明について、インターネット等を利用した対面以外の方法による具体的な手法や課題への対応策の検討を行うことと、契約に際して交付する書面の電磁的方法による提供の可能性の検討を行うことが対処方針として示されました。
アクションプランの提言を踏まえ、国土交通省において平成 2014年4月に立ち上げた、
有識者や実務者からなる「ITを活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会」を計6回開催し、議論・検討を行った後、2015年1月に「最終とりまとめ」を行いました。
「最終とりまとめ」では、IT重説 は社会実験という形で試行し、結果検証を行う検討会を立ち上げ、結果検証を踏まえ、必要に応じて要件等を見直した上で、本格運用へと進めていくことが適当とされ、「重要事項説明書等」の電磁的方法による提供は、同法に基づき、
書面(紙)での交付が義務付けられていることから、法令上可能とすることについて検討するべきである、とされました。
「最終とりまとめ」を受けて、平成2015年8月からIT重説に係る社会実験を開始し、結果検証のため2016年3月に立ち上げた「検証検討会」において、議論・検討を行った後、2017年3月に開催された検証検討会(第3回)で『目立ったトラブルは発生せず、IT重説の実施に支障がない』ことが認められ、賃貸取引は同年10月1日から、売買取引も2021年1月に開催された検証検討会(第7回)で同様に認められ、同年3月30日から本格運用へ
移行しました。
さらに、2019年10月1日から賃貸取引について宅建業法第35条及び第37条に基づき
交付する書面を対象として電磁的方法による提供に係る社会実験を開始し、また、売買取引については検証検討会(第7回)の結果を踏まえ、対象に宅建業法第34条の2に基づき交付する書面を加えた上で、2021年3月10日から電磁的方法による提供に係る社会実験を開始しました。
2021年5月に成立・公布された重要事項説明書等の電磁的方法による提供を可能とする
宅建業法の関連規定の改正を含む「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」の施行に向けて、2022年2月に開催された検証検討会(第8回)において、社会実験の結果等を踏まえ、円滑かつ適正に実施できるよう必要な要件等について、議論・検討を行い、その結果を政省令や本マニュアル等に反映した上で、同法は同年5月18日に施行され、重要事項説明書等の電磁的方法による提供が法令上実施可能となりました。
(参考:重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明実施マニュアル,令和4年4月, https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001479781.pdf,2022/10/18)

紙の契約書との違い

従来の紙での契約書(書面契約)では、紙に印刷された契約書へ署名・捺印をしたり、あらかじめ氏名が印字されている書類に押印したりすることで、本人の意思で契約したことを証します。これに対して、電子契約では契約書に直筆の署名や判子を押したりすることはできない為、代わりに用いられるのが電子署名です。
電子署名とは、電子文書(電子契約)に対して付与される署名のことであり、「誰がいつ、文書の内容に同意したのか」を明らかにするものです。電子署名法という法律に定められている下記の条文に基づいた署名が行われていれば、契約は成立したものと推定されます。つまりこの要件を満たせば、電子署名による契約書も書面のものと同様に、本人の意思によるものとして法的効力をもつのです。
”第三条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。”
(引用元:法務省,電子署名法, 平成十二年法律第百二号 電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号), https://www.moj.go.jp/MINJI/minji32.html,2022/10/18)

 

オーナー様へのメリット

電子契約は従来のように書類への署名・捺印や郵送等が必要ないため、オーナー様の手間を削減することに繋がります。また、契約にかかる時間が短縮できることからインターネットの操作に慣れている入居者に選ばれており、印紙代・郵送代等が不要になることからもオーナー様の収益性を高めることになると思われます。

電子化のメリット

・賃料発生日を早められる
・入居者の利便性アップ
・紛失リスクの防止
・紙文書保管スペースの確保や不要文書の廃棄不要
・環境保全
・記入漏れ等の不備防止
・書類改ざん防止

電子化できる契約・通常の賃貸借契約書

・駐車場契約
・賃貸物件更新契約
・管理委託契約書
・重要事項説明書    等
・定期借地権設定契約書
・定期建物賃貸借契約
・取り壊し予定の建物の賃貸借契約書  等

一部、便宜上紙媒体での契約を交わす必要が生じるものもございます。

 

まとめ

今回は不動産業界で普及が広まっている「賃貸借契約の電子化」について概要を取りまとめてみました。貸主側及び借主側の双方にとってメリットが多い電子化ですが、オンライン上での契約やパソコンの操作に不安を感じられる方もいらっしゃると思われます。
気になる点等ございましたらお気軽に担当部署までお問い合わせください。
お待ちしております。

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