不動産オーナー必見!高齢者の入居対策

不動産オーナー必見!高齢者の入居対策

少子高齢化が進む現代社会で、不動産オーナーの皆様が直面する課題の一つが、高齢者の入居対策です。孤独死のリスクが高いとされる高齢者の受け入れを懸念される方も多いでしょう。しかし、時代の流れと共に賃貸市場は変化し、高齢者の賃借人は増加の一途をたどっています。このような状況では、高齢者の受け入れに消極的な姿勢のまま賃貸経営を行うことは難しくなっています。
本コンテンツでは、高齢者を受け入れるメリットや、安心して受け入れるための具体的な対策をご紹介します。不動産オーナーの皆様にとって有益な情報を提供し、賃貸経営の一助となれば幸いです。

高齢者だけじゃない。単身世帯における孤独死の実情

図1 警察取扱死体のうち自宅において死亡した一人暮らしの者~令和6年第1四半期(1~3月)分 暫定値~

警察庁「令和6年第1四半期(1~3月分)(暫定値)における死体取扱状況(警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者)について、年齢階層別」より筆者作成

表1 年齢階級別にみた主な死因の構成割合

厚生労働省「第8表 死因順位(第5位まで)別にみた年齢階級・性別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合」より筆者作成

 

警察庁が発表した「警察取扱死体のうち自宅にて死亡した一人暮らしの者」によると、65歳以上の高齢者が79%を占めていますが、全体の5件に1件は65歳未満の人が自宅で孤独死していることが分かります。また、厚生労働省が発表している年齢階級別の死因順位では、15~65歳未満では自殺や不慮の事故が多く、特に15歳~39歳の階級では自殺が1位を占めています。一方で、65歳以上では、悪性新生物(癌)や心疾患、脳血管疾患、肺炎などが多くを占めています。
15歳~65歳未満の階級では、賃借人の精神状態などの問題があり、不動産オーナーとして対策をとることが難しいケースが多いです。しかし、65歳以上の高齢者の死因は自然発生的なものが多いため、事前に対策をしておくことでリスクをヘッジすることができるのではないでしょうか。

高齢者の入居を受け入れるメリット

賃借人の候補が増え入居が決まりやすくなる

総務省が発表した人口推計によると、2023年10月1日時点での総人口の構成比は、15~64歳が59.5%、65歳以上の高齢者が29.1%となっています。仮に今まで65歳以上の高齢者を受け入れてこなかったとすると、賃借人になり得る候補が1.3倍近く広がるため、その分入居が決まりやすくなります。

入居期間が長い

高齢者は、住み慣れた環境で生活を続けたいという心理から、転居をあまり好まない傾向があります。引越しの手間やストレスを避けたいという理由もあり、特に「終の住処」として選んだ住まいでは、長期間住み続けることが多いです。また、持ち家で生活していても、高齢化と共に家の維持管理や地方での生活(車移動や階段の利用など)が難しくなることから、終活の一部として親族の住まいの近くや都市部の賃貸住宅への移行をする高齢者も多く、こうした人々も一つの場所に長く住む傾向があります。さらに、医療施設や公共交通機関、生活支援サービスが充実した地域に住むことで、転居の必要性が減少し、安心して暮らせるため、高齢者はより長く住むことが期待されます。

家賃の滞納が少ない

多くの高齢者は、定年後に公的年金を主な収入源として生活しています。公的年金は毎月決まった金額が安定して支給され一定の収入が見込めることから、家賃をしっかりと支払える経済的基盤があります。さらに、高齢者は現役時代に積み立てていた退職金を受け取っている場合も多く、これが大きな経済的な支えとなっています。
また、人生の長い期間を通じて貯蓄をしている高齢者も多いため、予期しない出費が発生した際にも貯金を活用でき、家賃の支払いに困ることが少ないのです。例えば、医療費やその他の突発的な出費があったとしても、こうした貯蓄があることで家計の安定性を維持しやすくなります。

室内の損傷リスクが少ない

高齢者を受け入れるメリットとして、室内の損傷リスクが少ない点があります。高齢者は、若い世代と比べて日常生活で激しい動きをすることが少なく、大規模な模様替えや家具の移動を行うこともあまりありません。例えば、若い世代では家具の配置を頻繁に変えたり、部屋の模様替えを楽しむために大掛かりな作業をすることがありますが、高齢者は基本的に一度設置した家具をそのままの状態で使用することが多いです。そのため、壁や床に傷がついたり、家具の移動による物件の損傷が少ない傾向があります。
また、高齢者は慎重な生活を心がけるため、物を落としたりぶつけたりする頻度も低く、結果として室内が丁寧に使用されることが多いです。さらに、高齢者は生活習慣が安定しており、夜遅くまでの活動や騒音を出すことも少ないため、賃貸物件の劣化が進みにくいという特徴があります。このような理由から、修繕費用やメンテナンスコストが低く抑えられることが、不動産オーナーにとっての大きなメリットとなります。

立地や設備で競合物件との差別化がしやすくなる

高齢者は、医療施設や福祉施設、スーパーなどへのアクセスの良さを重視する傾向があります。既に退職して通勤がない高齢者にとって電車通勤のための駅チカや車移動のための敷地内駐車場がマストでない可能性があります。スーパーやドラッグストア、医療施設や福祉施設など、高齢者の生活がひと通り完結できるだけの条件が整っている場合、物件の立地が高齢者のニーズに合致している場合は、駅チカの物件でなくても他の物件と差別化しやすくなります。さらに、バリアフリー設計や高齢者向けの設備を整えることで、競合物件との差別化が図れ、入居希望者を集めやすくなります。

安心して高齢者の入居を受け入るための対策

契約内容の見直し

高齢者を安心して受け入れるための対策として、不動産オーナーは契約内容の見直しを行うことが重要です。例えば、家賃の支払いリスクを軽減するために、契約時に親族を保証人として設定するといいでしょう。これにより、万が一家賃の支払いが滞った場合でも、親族が代わりに支払う責任を負うため、オーナーは安心して賃貸経営を行うことができます。また、家賃保証会社と契約することで、保証人がいない場合や保証人だけでは不安な場合でも、家賃が未払いになった際に家賃保証会社が家賃を立て替えてくれる仕組みを利用することができます。

見守りサービスやグッズの活用

一人暮らしの高齢者の体調が急変することは防ぎようがありません。よくある孤独死の発見例としては、家賃が2ヵ月以上遅れている、近隣から異臭の苦情がある、親族が連絡を取れないと通報してくる、などがあります。しかし、このような発見はできるだけ避けたいものです。孤独死の発見が遅れると、体の腐敗が進み、床の傷みや臭いが発生し、次の入居者への印象も悪くなります。重要なのは、高齢者の体調が急変したときにすぐに気づき、放置しないことです。
物件のすぐ近くに親族の方などがお住まいで頻繁に入居者様のご様子を見ていただけるような環境である、または定期的にヘルパーさんが訪問してくださるような環境下であれば何かあった際も早期に対応でき安心ですが、親族とも疎遠、定期的に訪問される方もいないというような高齢者の場合はやはり入居について不安視される方も多くいらっしゃると思います。
これに対処する方法として、いくつかのサービスやグッズがあります。たとえば、ある保証会社のオプションで月に1回、入居者に電話して安否確認を行う「見守りサービス」や、緊急時にボタンを押すだけで通報できるペンダント型の緊急通報装置があります。また、毎日使用する家電の使用履歴で入居者の様子を確認できる見守りシステムと連動した生活家電もあります。これらの対策を利用することで、高齢者の安全を守り、問題の早期発見につなげることができます。

保険への加入

部屋の中で孤独死が発見された場合、ご遺体の傷み具合によっては通常の原状回復に加えて特殊清掃が必要になるため、通常の退去よりも費用がかかります。孤独死によってオーナーが不利益を被った際には、遺族に一部の費用を請求することができます。しかし、遺族と長年連絡を取っていない場合や、ほとんど絶縁状態の場合には、遺族が相続を放棄することがあります。この場合、オーナーは100%自己負担で改修を行わなければなりません。
この問題に対処するために、孤独死保険への加入をおすすめします。この保険は家賃や戸数に応じた保険料で、1棟単位で契約されることが多く、大体1戸あたり3,000円前後の保険料で最大100万円の保険金を受け取れる商品が一般的です。
実際に弊社が関わったケースでは、孤独死が発生し、原状回復に18万円の費用がかかりました。遺族の方から16万円がオーナー様に支払われ、残りの2万円がオーナー様の負担となりましたが、オーナー様が事前に孤独死保険に加入していたため、この2万円は保険でカバーされました。
また、入居者型の孤独死保険も存在します。こちらの保険は、入居者が自身で加入するもので、弊社が関わった別のケースでは、特殊清掃に35万円、原状回復に16万円の合計51万円がかかりましたが、入居者様が孤独死保険に加入していたため、50万円が保険金から支払われ、オーナー様の負担は1万円で済みました。

賃貸経営でお困りのお客様は第一住建にお任せください

人が亡くなるのは自然なことなので、一人暮らし世帯の孤独死を100%防ぐことは難しいかもしれません。しかし、少子高齢化が進む現代において、高齢者の受け入れに対する懸念を抱き続けていると、不動産投資活動の収益成長が難しくなるでしょう。そのため、不動産オーナーとして高齢者を安心して受け入れるための対策が重要です。

弊社は1972年の創業以来、大阪、東京、名古屋、札幌を中心に、不動産オーナー様の資産を最大化するためのお手伝いをする総合不動産グループです。自社でも投資用物件を60棟以上保有し、プロとして運用を行っているため、オーナー同士の目線で気づき、ご提案できる不動産管理活動をお約束します。ご所有不動産の賃貸経営にお困りのお客様は、ぜひ一度弊社までお声がけください。

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