その募集活動、不動産会社に情報をコントロールされていませんか?
- 管理
2024/03/29
空室がなかなか埋まらない可能性の一つに、不動産会社による情報のコントロールがあります。情報のコントロールとは、不動産会社が賃貸物件の情報を外部に公開せず、内部でのみ扱ったり、特定の顧客にのみ提供するいわゆる「抱え込み」と言われるものです。本記事では、不動産会社がどのように物件情報をコントロールしているかを明らかにし、情報が抱え込まれず、あなたの物件が魅力的に紹介されるようにするための方法をお教えします。
目次
不動産オーナーと不動産会社の契約形態は主に2つ
オーナーが空室募集のため不動産会社と契約する形態は主に2つです。サブリースなどの方法もありますが、本題とは関係が少ない契約形態のため対象外とします。
管理受託契約
管理受託契約を結ぶ場合、オーナーは物件管理と併せて募集活動や契約行為を一つの不動産会社に完全に任せることができます。オーナーから管理受託契約をもらった不動産会社が他の不動産業者に対して情報を公開・紹介することで、オーナーが直接複数の不動産会社に依頼しなくても情報の広がりを確保できるという仕組みです。この契約形式の利点として、物件に関する全ての情報が一か所に集まるため、情報の整理や管理がずっと簡単になり、オーナーとのコミュニケーションも密になります。また、後に詳しく解説しますが、管理受託契約はその不動産会社にとってまたとないチャンスのため、成功への強い動機付けとなります。このため、不動産会社はオーナーの資産が最大になるよう、通常以上に積極的な宣伝活動を行い物件の魅力を最大限にアピールします。
媒介契約
媒介契約では、オーナーは複数の不動産会社と契約を結ぶことができます。これにより、は自分の物件を紹介してくれる窓口を広げることができ、より多くの人に知ってもらう機会を増やすことができます。※各不動産会社は指定流通機構(レインズ)への登録義務はありません。さらにはオーナー自身が直接入居者を見つけることも可能です。このように高い柔軟性を持つ一方で、オーナー自身が複数の不動産会社の担当者とやり取りをする必要があるため、1つの不動産会社に任せるよりも単純に手数が2倍・3倍になることもあります。
不動産会社が情報をコントロールする方法
管理受託契約の場合
管理受託契約を結んだ後、不動案会社から物件の資料や募集ページに掲載しているところを見せられると、一見スムーズに部屋の募集がされているようにも見えますが、現場には裏の手段があります。それは、単純に他の不動産業者に紹介せず情報をコントロールするという手です。物件が不動産仲介業者同士の物件情報の共有サイト(レインズやリアルネットプロなど)へ登録されていたとしても、リアルタイムで常に更新してあるものではないため、他の不動産会社が物件を紹介する時には必ず管理受託契約を結んでいる不動産会社へ物件の確認(物件がまだ募集しているかの確認)をします。この時に管理受託契約を結んでいる不動産会社が、確認をしてきた不動産会社に「すでに商談中のお客様がいる」などと伝えたら、いとも簡単に自社だけで情報を抱え込むことができるのです。
媒介契約の場合
複数の不動産会社に物件の募集を依頼している場合、情報が一方の会社によってコントロールされるリスクは比較的低くなります。この時、情報をコントロールされる可能性があり注意が必要なのは、実際には一社のみと取引しているにもかかわらず、この媒介契約を推奨される場合です。一般媒介契約では、レインズへの登録義務がないため、一社のみと契約している場合、その情報は非常に限定されたものとなります。
売却の際には、このような「極秘情報」が価格を引き上げる可能性があるかもしれません。特に、不動産会社自身による買取を検討している場合などは、情報の秘匿性が価格向上に寄与することがあります。しかし、賃貸物件の募集に関しては、潜在的な賃借人がインターネット上で物件の詳細や室内写真を確認できない場合、物件への関心を引き出すことが難しくなります。そのため、賃貸物件の募集を目的とする場合には、一般媒介契約を一社のみと結ぶことはおすすめできません。物件情報が広く公開され、多くの潜在的な賃借人に届くようにすることが、空室解消のためには有効です。
不動産会社(賃貸仲介店舗)が情報をコントロールするメリットは?
不動産会社(賃貸仲介店舗)が物件情報をコントロールするメリットは、シンプルに“より稼げるようにするため”です。これは、「片手」「両手」と不動産業界でしばしば言われる取引形態に関係します。片手とは、不動産会社が貸主の代理として行動し、借主を他の不動産会社が見つけた場合に成立します。この時、仲介手数料は片方からのみ受け取ります。一方、不動産会社が情報を抱え込むことにより両手取引が可能になる場合があります。両手とは、不動産会社が貸主借主の双方を代理し、取引を成立させることで、両方から仲介手数料を受け取ることができる状態を指します。情報を抱え込むことによって、不動産会社はこの両手仲介を目指し、取引から得られる収益を最大化させることができるというわけです。
不動産会社に情報をコントロールされないためにすべきこと
空室率が高くなった場合にどのような対応をしているのか確認しておく
不動産会社は沢山の物件を管理しているため、上記に述べたような意図的なことではなく、単純に他の不動産の情報に埋もれてしまい、該当物件の空室対策が後回しになってしまう可能性もあります。しかし、オーナーからしたら空室率が高くなってきているのに、他の物件に埋もれてしまうなどもっての他です。不動産会社が抱えている物件を空室率に応じて緊急対策物件などとランク付けし、人の感覚に頼らない管理の体制があるかなどを確認しておきましょう。
依頼をしている不動産会社に紹介した件数や反響数を確認する
自分の物件が不動産会社によって適切に扱われているか確かめるためには、依頼している不動産会社から物件の紹介件数や反響数(問い合わせ数)を定期的に報告してもらうことが非常に重要です。これにより、物件が市場でどれだけの関心を引いているか、また不動産会社が積極的に物件を推進しているかを具体的な数字をもって把握することができます。
例えば、紹介件数が少ない場合や、反響数が期待に比べて低い場合は、不動産会社が他の物件を優先して紹介している、あるいは物件情報を十分に活用していない可能性があります。このような状況を避けるためにも、定期的な報告を依頼することで、不動産会社に対して自分の物件に対するより積極的な取り組みを促すことができます。
さらに、紹介件数や反響数のデータをもとに、物件の価格設定や広告の内容などの調整が必要かどうかを検討し、より効果的な販売戦略を立てることも可能になります。このように積極的に情報を管理し、コミュニケーションを取ることで、物件情報が適切に市場に出され、理想的なテナントや借り手を見つけることができます。
↓メールによる毎週の募集活動報告
空室が埋まらない本当の理由を探りましょう
空室が埋まらない時に不動産会社から訊く理由は立地、家賃、お部屋の状態・間取りなど様々です。しかし、本記事で解説したように不動産会社が意図的に情報をコントロールしているのであれば話は別です。募集する不動産自体は悪くないけど、募集活動のやり方によって機会損失が生まれている場合もあります。本記事、不動産会社に情報をコントロールされていないか確認する方法で取りあげた方法は、当社がオーナー様への情報に透明性をもたせるために行っている方法です。もし数か月経っても空室状況が改善されない、改装や家賃の値下げばかりを提案してくる場合は一度疑ってみることも必要です。
関連記事:適切な募集活動で機会損失をゼロにする方法
INOVEを提供する第一住建グループは大阪を中心に50年以上にわたり、自社物件60棟以上を運営するプロのオーナーとして、不動産オーナー様の投資活動をお手伝いしてきました。空室対策についてお悩みのオーナー様は一度是非ご相談ください。