売却の前にクロスを張り替えるべきかどうか?

売却の前にクロスを張り替えるべきかどうか?

不動産の売却中には、購入検討者に家の中を見てもらいます。
購入検討者はアクセスや金額などの条件の他、部屋の雰囲気などでその不動産を購入するかどうか決めるため、部屋の印象は非常に重要です。
部屋の片づけや掃除をするにしても、長年住んだ家ではとれない汚れもあります。
クロス(壁紙)は湿気や経年劣化、住む人の生活によって汚れるものですが、お部屋全体を見渡した時に最も目につく部分です。
しょうがないとは言え、不動産を売却する前にクロス(壁紙)は張り替えなくても良いのでしょうか?
本記事ではクロスを張り替えるメリット・デメリット、クロスを張り替えた方がいい場合や大まかな相場について解説します。
この記事はINOVE(イノベ)が提供しています。INOVEは第一住建グループが運営する新しい不動産総合サービスです。

クロスを張り替えるメリット・デメリット

メリット

印象アップが期待できる

クロスを張り替えることで、経年劣化でできたひび割れやシミ、カビや臭いをとることができます。
特に日本で最もオーソドックスに使用される「白」を基調としたクロスは、日常生活で人の汗や手垢が付くことで黄色く変色し、湿気の多い場所ではカビも目立ちます。
クロスを張り替えるとこれらが真っ新な状態になるため、かなりの印象アップに繋がります。

デメリット

費用や手間がかかる

クロスの張り替えには費用や手間がかかります。住んでいる間にクロスを張り替える場合には、リフォーム業者に見積もってもらう立ち合い、張り替え時の家具の移動が必要になります。

クロスの好みは個人差がある

クロスは数多くの種類の中から選ばないといけません。しかし、白を基調としたものだけでもシンプルな無地のものからブロック調、和柄、肌触りが異なるものや燃えにくい素材のものなどがあり、カラーを加えるとかなりの数があります。
最近ではアクセントクロスとして、壁の一面だけ色や柄を変えたクロスを張ることも流行っていますが、いい意味でも悪い意味でも個性が出ます。
売主様が良かれと思って選んだクロスも、購入検討者にとってはナンセンスな場合もあるため、あくまでも無難で万人受けするものが一般的です。

購入検討者の中にはリフォーム前提の人もいる

不動産を中古で探す人の中には、自分好みにリフォームがしたいという理由で探している人もいます。
予算的に注文建築には手が出せないけど自分でこだわった家に住みたい、というような人には中古不動産は価格が抑えられるため狙い目なのです。
このような人は室内の状態は気にせず、とにかく価格が抑えられる物件を探している場合が多いため、クロスの張り替えをすることでターゲットから外れてしまうことがあります。

売却価格にはほぼ影響しない

クロスを張り替えることで、明るく綺麗な印象を与えるため、クロスを張り替える前よりは後の方が成約になる可能性は高くなります。
ただし、確実にクロスにかけた費用分を売却金額にプラスして売れるかと言えば、その保証はありません。
例えば、査定金額1,000万円の物件、クロスの張り替えに30万円の費用を要する場合1,030万円で売れる保証はないということです。
これは、同じ中古市場に売りに出ている競合物件や室内の設備の状態に左右されるからです。
上記の物件でクロスの張り替えをしたとして、室内の設備の状態がかなり劣化している(使用不可。リフォームが必要)場合に、近所でクロスは新築時から変わっていないが設備の状態が比較的よい(そのまま使用できる程度)物件が同じ1,030万円で売却開始されたとなれば、多くの購入検討者は後者を選ぶことが予想されます。

他の傷や汚れが目立つ様になる

全てのクロスを張り替えると部屋全体が明るく綺麗になるため印象アップに繋がりやすいですが、部分的に張り替えた場合は、張り替えた部分と張り替えなかった部分の対比で張り替えなかった部分の劣化が目立ってしまう場合もあります。
また部分的に見ていくと、クロスを張り替えた場所でもインターホンやスイッチパネルなど経年劣化で変色しているところが悪目立ちすることもあります。

クロスを張り替えた方がいい場合

築浅物件にも関わらず汚れている場合

築浅物件を目がけている購入検討者の狙いは「綺麗さ」でリフォームは最低限で抑えられる物件を求めています。
そのため、内覧に来た時に想定以上に汚れていた場合等は購入検討者の期待値と大きく乖離が生まれ、購入の見送りとなります。
実際築10年程度までは意図的に汚したもの以外、クロスを張り替えなくても買主様がそのまま住める物件が多いです。

穴が目立つ場合

掃除や模様替えで家具が当たった時や夫婦で大喧嘩をした時にできた目立つ穴があればクロスの張り替えを検討した方がいいでしょう。
ただし、穴が深く壁の内部まで到達している場合は、パテ埋めなど、壁の補修も考えないといけません。
前述した様に、購入検討者は物件の印象で購入するかどうかを決めます。
大きな穴が空いている物件は少なからずマイナスの印象を与えてしまうため、早めに修復することを検討しましょう。

かなり大きな面積のクロスがめくれている場合

お子様が小さい時に侵入を防ぐために設置したベビーゲートを撤去する時、一緒に周りのクロスが剥がれてしまうこともあります。
ほんの少しのめくれは専用の接着剤などでくっ付けることができますが、大きな面積になる場合は張り替えを検討しましょう。

クロスの臭いやカビがとれない場合

北に位置する部屋の窓枠周りのクロスは特にカビが発生しやすいため注意です。
カビが少しの場合は、ハイターなどで処理すれば綺麗になりますが、長年放置しカビが増殖した部分が大きくなれば掃除でカビを取るのは難しいです。
またペットを飼っていてトイレの臭いや跡が染みついている場合も、目立つ場合は張り替えを検討しましょう。

著しく劣化・変色している場合

クロスを最も劣化させる原因は「タバコのヤニ汚れ」です。
キッチンの換気扇の下で吸っていても、日常的にタバコを室内で吸うとクロスは少しずつ黄色に変色し、ヤニ汚れで粘着が出てきます。
タバコを吸う人にとっては気になりませんが、吸わない人にとっては息苦しいものです。
こうなるといくら掃除をしてもとれるものではありませんので、クロスの張り替えを検討しましょう。

クロスを張り替える時の相場

クロスの種類や依頼するリフォーム業者によって異なりますが、大体1㎡あたり1,000~1,500円程度です。標準仕様とハイグレードとで金額差はありますが、おおまかな目安は以下の通りです。
・洋室6.0帖 →4~8万円
・洋室8.0帖 →5~9万円
・洋室10.0帖→ 6~10万円
マンションの場合(3LDK・4LDK程度) 25~53万円
戸建の場合 (4LDK~5LDK程度)50~100万円

まとめ

以上、クロスを張り替えるメリット・デメリット、クロスを張り替えた方がいい場合、大まかな張り替え相場について解説しました。
不動産の売却活動は、本物件だけでなく周辺の競合物件の販売状況にも大きく左右されるため、正確に市場の状況を把握したうえでクロスを張り替えるかどうかを判断することが大切です。
判断が難しい場合には迷わず地域の不動産市況に詳しい不動産会社に相談しましょう。

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