登記事項証明書 ~5つ種類と発行方法・手数料について~

登記事項証明書 ~5つ種類と発行方法・手数料について~

登記事項証明書とは、土地・建物・マンションなどの所在・大きさ・構造・所有者等が登録されたもので、対象不動産について第三者に対し権利を持っていることを証明するものです。
登記事項証明書には、その不動産に対して、誰がどのような権利を持っているかが登録されています。登録されているのは、現在だけでなく、過去の所有者やどのような権利が設定されていたか等も含みます。
不動産の購入・売却を初めて検討する時に、登記内容を見ることは非常に重要です。
しかし、登記事項証明と一言で言っても実は種類がいくつかあり、そもそもどこで取得できるものなのか等、疑問を多くお持ちになるでしょう。
そこで、今回は登記事項証明書の種類と取得方法・その手数料について解説します。
この記事はINOVE(イノベ)が提供しています。INOVEは第一住建グループが運営する新しい不動産総合サービスです。

登記事項証明書と登記簿謄本の違い

記載内容は同じです。
登記簿謄本…昔ながらの言い方で、コンピュータ処理していない登記簿用紙をコピーしたもの。
登記事項証明書…法務局の登記簿の情報をコンピュータ処理したもの。
現在ではコンピュータでの処理が当たり前になったことから、登記事項証明書を使用することが一般的ですが、ビジネスシーンでは以前の習慣から未だに「(登記簿)謄本」と言われていたりもします。

登記事項証明書の種類

全部で5つの種類があります。
発行は有料ですが、誰でも取得・閲覧することができます。
それぞれ使用するケースが異なりますので、対象不動産の何について調べたいかを把握し必要なシーンに応じて取得しましょう。
■全部事項証明書
■現在事項証明書
■一部事項証明書
■閉鎖事項証明書
■登記事項要約書

全部事項証明書

その不動産の過去の登記から現在までの所有者や抵当権・賃借権など、閉鎖された登記事項以外の内容が記載された証明書で、現在事項証明書・一部事項証明書・登記事項要約書の内容を含んでいます。
1つの土地の上に1つの建物が建っている状態でも、土地と建物では別々に全部事項証明書があります。対象不動産がどこまでの土地を保有しているか調べる時には、公図(土地の位置関係を確定するための法的な地図。各土地の地番が記載されています)を見て隣接する土地の全部事項も取得するようにしましょう。不動産取得時の売買契約書や権利証・登記識別情報通知を見ても調べることができます。

現在事項証明書

登記事項のうち、現在における登記事項のみが記載された証明書で、甲区(所有権に関する事項)の過去の所有者や、乙区(所有権以外の権利に関する事項)の抹消された過去の抵当権等についての記載はありません。
全部事項証明書に比べ交付料金が安いため、現在の権利関係のみ確認したい場合に便利です。

一部事項証明書

全部事項証明書の一部だけを記載した証明書です。分譲マンションの土地の全部事項証明書を取得すると1人ずつの登記情報(持ち分・住所)が何十~何百人分出てくるので、
かなり膨大なデータになります。このような時に一部事項証明書を活用すると、現在事項の特定の部分のみが取得・出力できるので便利です。

閉鎖事項証明書

全部事項証明書には記載のない、土地や建物の閉鎖された登記情報を記載しています。土地の合筆(複数の土地を1つに合わせる)、建物の滅失(解体)によって登記情報は閉鎖されます。対象不動産にリスクがないか調べる時に取得します。
例えば、アパートを建築する目的で購入を検討している土地があるとします。しかし、閉鎖事項証明書を見ると対象土地の上には数年前まで薬品を扱う工場がありました。
万が一薬品で対象土地の土が汚染されている場合、建物を建築する前に土の入れ替えが必要です。土を入れ替えるには当然費用がかかりますので、建築費用+土の入れ替え費用となり、当初の計画より費用が大きくかかります。
工場が建つ可能性のある用途地域の場合は、念のため取得することをおすすめします。

登記事項要約書

現在効力のある登記情報の一部を記載したものです。現在事項証明書や一部事項証明書と類似していますが、「証明書」として使用することができません。
要約して記載される項目は、土地・建物の表題部(所在・面積等)、甲区(所有権に関する事項)は現所有者のみ、乙区(所有権以外の権利に関する事項)は抵当権の記載が簡略化され、尚且つ現在効力のない抹消された過去の抵当権については記載されません。
証明書よりも交付料金が安いことから、単純に内容の確認等の使用用途であればこちらで十分確認できます。

取得方法について

法務局

平日8:30~17:15まで
物件の所在地によって管轄の法務局は異なりますが、基本的には他の管轄の物件であっても取得できます。
1)直接行く
2)郵送交付請求する

オンラインで交付請求する

*法務局が運営する登記・供託オンライン申請システムへアクセス
→「かんたん証明書請求」 平日8:30~21:00まで
*一般財団法人民事法務協会が運営する「登記情報提供サービス」でも閲覧することができますが、有料で取得しても証明書にはなりませんので注意してください。
*ちなみに、不動産の売買契約時の重要事項証明書の補足資料としては、登記情報提供サービス等で取得した登記事項証明書を添付することが一般的です。
証明書としてではなく、売買時点で誰が所有者なのか、どのような権利がその不動産にかかっているかを確認することを重視しているためです。

手数料について(全部事項証明書の場合)

料金もインターネットバンキングで電子格納できるためWeb上でお手続きが完結します。

登記事項証明書の発行を申請する時には、土地の地番や建物の家屋番号を予め知っておかなければなりません。
住所表示が実施されていない(地番と家屋番号が同じ番号)地域の物件の場合は普段郵便物が届く書き方で番地まで書けばいいですが、住居表示が実施されている地域の物件の場合は調べる必要があります。地番や家屋番号は購入当初の契約書を見る、固定資産税の納税通知書を見る、対象不動産管轄の法務局に電話する、ブルーマップを見ることで調べられます。
不安な方は直接法務局へ直接行かれることをおすすめします。

まとめ

以上、登記事項証明書の種類・取得方法・手数料について解説しました。
今まで不動産をご購入・ご売却されたことのない方にとっては、「登記」自体あまり馴染みのないものですし、ハードルが高いイメージを持たれるかもしれませんが、最近では誰でもご自宅で必要な登記事項証明書を取得することができます。
非常に似ていますが、それぞれ記載されている内容や効力が異なるので、必要なシーンに応じ最適なものを最適な方法で取得する様に注意し、分かりづらい時には不動産のプロに相談しましょう!

※追記
2022年6月では、相続発生時に相続登記(被相続人から相続人へと所有権移転登記すること)に義務はなく、登記申請期限はありません。
相続登記されないと亡くなった被相続人の名前の状態で登記情報が終わっているため、最新の情報(どこの誰が所有しているのか)が分かりません。
この状況が、災害復興時や近隣での不動産取引に影響を及ぼすなど様々な問題の原因となるため、2021年4月に「所有者不明土地問題」を防ぐための法律が成立し、2024年4月1日から相続登記が義務化されることになりました。
住所変更登記についても義務化されますが、2026年4月頃が予定されていますが具体的な施行日は未定となっています。

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