浄化槽のメリット・デメリット
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2022/10/26
生活排水を処理する施設として公共の下水道の他に浄化槽という設備があり、建物や地域の特性にあわせて整備されています。
浄化槽という設備について、下水道の違い、メリットデメリットについてご紹介します。
目次
浄化槽って何?
(大阪府「なぜ、浄化槽でお風呂や台所、トイレの排水がきれいになるの?」)
「浄化槽」とは公共の下水道が配管されていない建物に設置されている汚水処理設備です。
各家庭から排出される汚水(トイレ)や雑排水、(キッチン、浴室、洗濯排水など)を浄化槽内に流し込みます。
浄化槽の中に微生物を生息させ微生物は下水の中の汚れ(有機物)を餌にして成長、増殖を繰り返しています。
この微生物の働きによって汚れた水が分解されきれいな水となり、やがて河川などに放流されます。
下水道が通っていれば建物ごとにこのような処理装置を設置する必要はなく、下水道により集められた下水は下水処理場できれいな水になります。
実際のところ都会では下水道が配管されていないエリアはほとんどありませんが、郊外ではまだまだ多くのエリアで浄化槽を使用している建物が存在しております。
では下水道と浄化槽にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
浄化槽のメリット・デメリット
メリット
正直なところ下水道より浄化槽の方が利があるという点はあまりございません。
水道の使用量の多い家庭 では下水道使用料金を安く抑えられるということは言えるかと思います。
その他には建物から下水道の本管まで管を引く工事と、浄化槽設置工事では浄化槽設置の方が工事費が安く抑えられるケースもあるかもしれません。
デメリット
・ポンプ、ブロワなどの電気代がかかる
・定期的な点検や清掃、汚泥引き抜きが必要
・本体に寿命があり交換が必要となる
・機械部品は本体より寿命が短く、短期間での交換が必要となる
・浄化槽内の微生物が弱ったりブロワの容量が小さければ付近に悪臭が漂う
などが挙げられます。
浄化槽使用の最大の難点は定期的な点検、清掃が必要となり年間のコストが大きくかかるところです。
建物の規模で浄化槽と付随する機械の大きさが変わり、それに伴い費用面でも差は出ますが、例えば15世帯程のファミリーマンションでは浄化槽点検が年6回、汚泥引き抜きの清掃業務が年 1 回必要となり、年間コストは合計で150,000円(税別)必要となっております。
地域ごとに決められた清掃業者に委託する必要もあり、すぐに値引き交渉がうまくいく…というわけにもいかず、キャッシュフロー的にも大きな予算組をしなければなりません。
また定期的な点検・清掃を行っていたとしても半永久的な耐久性はもちろんなく、本体なら30年前後、例えばブロワなど機械部品なら10年前後で寿命となり、その際は数十万円かけて交換工事が必要…という事態も発生します。
ブロワとは?
浄化槽内の微生物に呼吸させるため(微生物が死んでしまわないようにするため)浄化槽内に絶えず酸素を供給する設備のことです。
浄化槽サイズや居住人数が多いほど容量の大きなブロワが必要となります。
過去に、あるマンションで浄化槽のブロワと水中ポンプの故障により浄化槽設備が作動しなくなるという不具合が発生しました。
大きなファミリーマンションでしたがその際の工事費用はポンプ交換で 30万円弱、ブロワになりますと戸建て用のコンパクトなものではなく大型のものが必要でしたので本体及び交換作業費、清掃不要など含め 100 万円超の費用が必要となりました。
長い期間で物件を保有する場合、その物件が浄化槽物件であるのか、下水道物件であるのか、またメンテナンス費用やもしも機械の交換が必要になった際の工事費用なども事前に把握することが収支を考えるうえで重要な部分となってきます。
浄化槽から下水道への切り替え
前述で浄化槽のメリットとデメリットをお伝えしましたが「では、浄化槽を撤去し、下水道に切り替えよう!」とお感じのオーナー様もいらっしゃるかと存じます。
しかしながらどの建物でも下水道に切り替えられるというわけではなく、各市町村によって排水処理方式が決められていますので、まずは当該地域の自治体に下水道が使えるのかどうか確認しておく必要があります。
もし下水道が使用できる地域であった場合、市町村に公共下水道使用開始届出書を提出し、受理後に工事を行うといった流れとなります。
(東大阪市「公共下水道施設に関する申請・届出書類」)
下水道切り替え工事費用
浄化槽物件を下水道に切り替えるための申請が受理されますと、工事を行う際の費用の検討となります。インターネットでは戸建てで50万円から80万円という記事もございますが、
下水道の本管までの距離や既存の浄化槽の大きさ次第ですが100万円~300万円といった費用が必要となります。
まとめ
大きな金額が必要となりますが、上記で申し上げました通り、設備の故障や年間のメンテナンス代を考慮しますと、5年以上の長期保有を考えている場合は切替工事を一度検討されたほうが良いかと思われます。
もしご所有の物件やご購入を検討される物件であわせて下水道への切り替えをお考えの際は弊社にてシミュレーションのご協力をさせていただきますのでお気軽にお声がけ下さい。
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