長年空き家の不動産も売却できる?スムーズに売却するために見ておくべきポイント
- 売る
2022/10/21
地方の人口流出や少子高齢化に伴い、近年では介護の段階でなくても両親を自宅に呼ぶ人が多くなっています。
両親の家(実家)となると親族の荷物や両親の長年の荷物が多いため、荷物の整理だけでもかなりの時間を要します。
「取り敢えず引っ越しだけ先に…」と引っ越しをしたものの、空き家が長期化することも少なくありません。
物理的な距離から中々家の状態も見に行けず、漠然とした不安感が押し寄せます。長年空き家になった不動産も売却できるのでしょうか。
本記事では空き家数の推移や空き家の判断目安も交えながら、売却方法やスムーズに売却するために見ておくべきポイントを解説します。
この記事はINOVE(イノベ)が提供しています。INOVEは第一住建グループが運営する新しい不動産総合サービスです。
目次
空き家数の推移
総務省が発表した「平成30年住宅・土地統計調査住宅数概数集計 結果の概要」によれば1963年から2018年の間で空き家数が約16.2倍にもなっており、増加傾向にあることが分かります。
(総務省「平成30年住宅・土地統計調査住宅数概数集計 結果の概要」より筆者作成)
元々は人が住んでいた家が空き家になる理由は様々ですが、冒頭でも述べた通り、近年では核家族化が進んだことや、地方の人口流出、少子高齢化が大きく関係していることが予測されます。
どこからが空き家?
平成26年11月27日に交付された「空き家対策特別措置法」では、
「空屋等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の仕様がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く
(出典:国土交通省「空家等対策特別措置法について」)
と定義されており、空き家かどうかを判定する目安は1年間使用されていないことと言われています。
1年間使用していないかどうかは所有者本人しか分からず、客観的に判断するために6つの判断基準が設けられています。
・住宅の用途
特に使用用途がない住宅の場合は管理が疎かになる可能性があるため要注意と判断されます。
・人の出入りの有無
人の出入りが全くない場合は要注意と判断されます。
・電気・ガス・水道などの利用状況
住宅が使用されているかどうかの指針です。通常人が住んでいる時の使用料と比較されます。
・建物の登記・所有者の住民票
建物の登記には所有者の住所も登記されます。住民票の住所と登記されている住所がかけ離れている場合や、長期間登記が更新されていない場合は要注意とみなされます。
・適切な管理が行われているか
建物や土地において、近隣に被害を及ぼすような管理になっていないかチェックされます。
・所有者の主張
所有者に直接利用状況について聞き取りがあります。
空き家によるトラブル
住宅の材料となっている木材や鉄骨・コンクリートなども時間が経つと必ず老朽化するため、定期的なメンテナンスは不可欠です。家の外壁塗装等もメンテナンスの一部です。
住宅の傷みは、日常生活で発見することができますが、空き家の場合はそもそも家まで行かない場合がほとんどで管理されていないものが多いです。
長期間放置された空き家は、老朽化による倒壊、景観の悪化、火災、防犯性の低下等、様々なトラブルの原因となり、近隣地域へ影響を与えてしまいます。
親族の使用予定のない住宅等はトラブル防止のためにも、早めに売却を考えましょう。
空き家の売却方法
① 個人間売買
不動産所有者が自ら購入希望者を見つけて売却する方法です。
売却活動を始める時点で既に購入希望者がいる場合などはすぐに契約することができ、不動産会社に依頼しない分仲介手数料を払う必要はありません。
ただし、自分で契約書や重要事項説明書など、契約~決済までに必要な書類を全て用意しなくてはいけないため、不動産の契約関連や調査の知識があることが大前提になります。
② 空き家バンク登録
空き家バンクとは各地方公共団体が運営する空き家の仲介サービスのことです。
空き家バンクへの登録調や仲介手数料はなしで取引が可能ですが、個人間売買同様、不動産所有者自らが購入希望者と交渉をしたり、契約書等の作成を行わなくてはなりません。
③ 不動産仲介会社に依頼する
不動産仲介業者に依頼して購入希望者を探して貰い契約・引渡し(決済)までを行います。
売買契約が成立した時には仲介手数料を支払う必要がありますが、専門知識をもった仲介業者の担当者が査定から購入希望者との交渉、売買契約、引渡し(決済)までを行うため、手間がかからずトラブルも起こりにくいことがメリットです。
基本的な手続きや仲介手数料はどこの仲介業者も同じですが、方針や担当者によって販売期間中のアドバイスの有無等こまめさが異なるため、信用ができる仲介業者の担当者に任せることが大切です。
査定~媒介契約書(販売活動依頼をする契約書)をしてもらう時にいくつかの仲介業者に声をかけて、査定価格だけで判断するのではなく、ご自身の考えに合った販売活動をしてくれる担当者を見極め、選ぶようにしましょう。
④ 不動産会社に買取してもらう
買取している不動産会社もあります。
一般的には、不動産仲介業者を介し、個人の購入希望者へ売却する時の7割程度の売却金額になることがデメリットではありますが、プロが買い取るため、確実に早く現金化ができ、契約不適合責任や設備の修復義務も免責になることが最大のメリットです。
*契約不適合責任…引渡しから3か月間。売主が取引した土地及び建物の品質に関して契約の内容に適合しないものを買主へ引き渡した場合の売主の責任。場合によっては売主の費用負担や契約解除などが発生します。
*設備の修復義務…引渡しから7日間。引き渡した設備のうち、通常に使用可能と告知したものについて故障していた場合、修復しないといけない売主の義務。
スムーズに売却するために見ておくべきポイント
貴重品等は全て引き上げておく
売却するとなると不動産業者や購入検討者など、不特定多数の人が家の中に出入りすることが前提です。
処分する家財は処分業者に頼めばすぐに撤去できるため、貴重品などの必要なものだけでも空き家から引き上げる様にしましょう。
設備の状態
設備が使用可能な状態かどうかは売却活動に大きく影響します。
基本的に不動産の売買には設備の修復義務はある決まりなので、「おそらく使えるだろう…」で契約してしまうと、引渡し後実際には使えなかったとトラブルになる可能性もあります。
設備の修復義務を免責にすることを前提に売り出すこともできますが、その場合は売却開始時点である程度値段を抑えておかなければ成約になることは難しいでしょう。
また、使える設備があれば買主にとってリフォームしなくていい箇所になる可能性もあるため、売却金額が伸びる可能性もあります。
キッチンや給湯器、トイレ等、設備の動作確認はするようにしましょう。
庭木や植栽の状態
長期間空き家にしていると庭木や植栽が伸びている場合があります。
かなり伸びている場合は、購入検討者が見る時の印象アップや近隣の家へ影響を与えない様に、整備することも検討しましょう。
建物の状態
建物は使用していなくても雨風にさらされ自然に劣化していきます。
売主には購入検討者へ建物の状態を伝える責任がありますし、不動産会社等に見て貰う場合でも、ご自身が納得できるよう1度は建物の最新の状態を見ておくことをおすすめします。
まとめ
空き家は長期間放置しておくと様々なリスクが伴う一方、売却活動において売主が対象不動産のことを正確に理解しておくことは非常に重要です。
不動産の取引には専門知識を要するものが多いため、安心で確実な取引ができる様に、困ったときには不動産会社へ依頼する様にしましょう。
不動産の売却は第一住建に
第一住建グループの幅広い事業領域とネットワークによって、売却活動をスムーズかつ確実にお手伝い致します。
売主様のお気持ちに寄り添いながら、最適な売却活動方法をご提案し、マニュアルに頼らないサービスを生涯にわたって提供していきます。